帽子をかぶりつつ、この日傘をさすと何が違うのか、使ってみての感想は、まず涼しいということ。直接、日に当たるよりは体感温度が1、2度下がる感じがします。あるいはもっとかもしれません。
以前は日陰を求めて歩道を右へ左へと移動しながら歩いていました。しかしこの日傘をさして歩けば、その必要がありません。
また傘の下では、日差しは遮(さえぎ)られるのでまぶしさが軽減されます。まぶしさを感じるだけでも暑くなりますから、この視覚的な効果もとても大きい。

もう一つの大きな効果があります。それはこの日傘をさしていると、守られていると感じるということ。守られていると感じるということは、それ以前は守られていない感じがしていたということです。
夏は薄着になる分、素材も薄く柔らかくなり、露出部分もふえます。真冬のコートのように衣服は身体をガードしてくれません。よく言えば開放的ですが、悪く言えば無防備です。
外に一歩出れば、倒れてしまいそうな暑さと湿気の中、この無防備な状態で出かけることが、実はかなりの心理的な負担になっていたのだと気づきました。
夏の軽装は、実はとても心細いもので、身体も心もガードは脆弱(ぜいじゃく)。西洋の人たちは、この夏の装いの脆弱性をサングラス、首元や指先のジュエリーの重ね漬け、腕時計やバングルといった重装備で補っているのかもしれません。