男性の育休「取ってよかったことしかない」。経験者が語る大きなメリット
男性が育児休業を取りやすくするための新たな制度「産後パパ育休」制度が2022年10月1日から始まりました。
従来の育休とは別に設けられた制度で、子どもが産まれてから8週間以内に4週間まで取得でき、2回に分割することも可能です。その背景にあるのは、男性の育休取得率の低さ。
看護師や助産師、保健師の資格を所有し、総合病院の産婦人科や精神科での勤務を経て、現在は、性教育系YouTuberとして活動するシオリーヌさん(30歳・@shiori_mw)は2022年夏に第一子を出産。現在、育児休業中の夫・つくしさんと育児に励んでいます。
医療系ベンチャー企業に勤務する夫のつくしさんは、1年間の育児休業を取得しています。
シオリーヌさんは2022年10月11日に、「株式会社Rine(リーヌ)」を設立。これまで取り組んできた性教育活動などを拡大し、さらに子育て支援事業を開始すべく準備中だそうです。
つくしさんの育休取得を報告した動画には「1年も取れるのすごい」「職場は大丈夫だったの?」など、さまざまな反応が寄せられています。そこで今回は、取得の経緯やメリットについても語ったこの動画の内容を紹介します。
最初から“育休を取ることは当然でしょ!”というマインドだったという、つくしさん。その理由には「生まれたばかりの赤ちゃんの子育てを、一人でやるのは無理」という認識があったからだと語ります。
育児休業の取得は推奨されていますが、この日本ではまだまだ、男性が育児休業を1年間取ることはとても珍しいこと。「長くても3ヶ月……」「産後1週間が限界……」という話を聞いたりもします。育休期間をどうやって決めたのでしょう。
つくしさんの頭には、疑問が浮かんでいました。それは、「1週間育休を取って、それで何ができるんだろう?」ということ。
「例えば2週間健診、1ヶ月健診とか、人手がいつもより必要なところだけ育休を取っても、確かに助かることもあると思うんだけど、メインで子育てをしてくれている人(お母さん)の助けになって、休んでもらえるかって考えたら、1週間じゃ物足りないよなっていう気持ちも大きくて」(つくしさん)
そういった考えもあり、シオリーヌさんとの相談を重ねた結果、1年間という期間を決めたといいます。
これに対してシオリーヌさんは、「たしかに、ゼロよりは10日でも2週間でも取ったほうがいいとは思う」と共感。実際に自身が体験した産後の状況を振り返ります。
「退院してすぐは体もヘロヘロだし、入院中の何でもやってもらえる生活から、自分の家で暮らしていかなきゃいけないっていう生活が始まったばっかり。そこから2週間とかだけでも、もう1人大人がいたら全然違うと思う。
でもやっぱり、お産を終えたばかりの人が、自分の体もままならない中で育児をしていくって思うと、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と本調子に戻ってくるには時間が必要だなとは思うから、長いに越したことはないよね」(シオリーヌさん)
もともと「赤ちゃんの育児、一人では無理」という認識を持っていたつくしさんですが、世の男性の中には、“一人では無理”という感覚を持ってない人も少なくありません。この当事者意識はどこから生まれたのでしょうか。つくしさんは自身の生い立ちを振り返ります。
「一番大きいのは、年の離れた妹がいて、中学生ぐらいの頃から赤ちゃんの世話をしたこと。それはかなり影響してるんじゃないかなと思う。それがあるかないかでは、この時期に何をしなきゃいけないのかって、なかなか想像がつかなかったと思う」
シオリーヌさんは男性の育休についてこう語ります。
「育休を取る人が増えてきているとはいえ『はて? 何するんだろう?』という状況に陥ったり、周りの人から『父親が休んでも何もできないよ』と言われたりすることもあるかもしれないし、なかなか想像がつかないのはあるかもしれないけど、いざ(赤ちゃんと)暮らしてみると『一人じゃ無理だよね』と実感するので、世のお父さん方には頑張って育休を取ってほしいです」
育児休業取得は当然。1年間の取得を選んだ理由は?
“一人で育児は無理” その当事者意識はどこから?
