――他にはどんな問題がありますか?
清水:そのほかにも、
仕事をどうしたらよいか、子育て中の方にはお子さんのことをどうしてあげたらいいのかという問題、また少し上の世代では、
がんになったことで親の介護の役割を果たせなくなってしまうという問題もあります。
子育てや家のローンでお金がかかる年齢なので、治療費を払うことで経済的にも大変になってしまいます。20歳まではがんは「
小児慢性特定疾病医療費助成制度」の対象で医療費がかかりませんが、20歳を超えると医療費が3割負担になります。
またがんの末期に40歳以上は介護保険を利用することができますが、保険料を払っていないAYA世代はその制度を利用することができず、家で過ごしたくても経済的な負担があってそれがかなわないということがあります。
――小児がんの経験者の方からは、どんな声が挙がっているのでしょうか。
清水:例えば小児がんの場合、これまでは治療が困難だったがんの治療法が確立されたため現在では生存率が向上しています。小児がんの経験者の中には、治療で学業が続けられなくなったり、後遺症を抱えていて、就職に苦労したりしてしまうケースがあります。
相談できる窓口が少ないためにうまく支援に繋がることができず、諦めて学校からドロップアウトしてしまうこともあります。小児がんの経験者の人も、AYA世代で発症した人も、お話を聞くと、「
周りに同じような人がいないので他の人はどうやって乗り越えているのか分からない」「参考になるような先輩の話を聞きたい」という声がありました。
――一人暮らしの方の困りごとには、どんなものがあるのでしょうか。
清水:一人暮らしをしていると、一人きりでがんと向き合わなければならないので、大変だと思います。
コロナ禍では特に、家族や友人に助けてもらうことが難しく、孤独に戦わなくてはならない人もいました。若い時は「自分でなんとかしたい」と、ひとりで頑張りがちですが、治療の副作用で体調が悪かったり、食事が困難な時などに、ご家族や友人などサポートしてもらえる方がいないと日常生活がとても大変ですし、心細いことでしょう。