――坂口さんとは『イノセンス 冤罪弁護士』(2019)以来の共演です。印象に変化はありましたか?

『サイド バイ サイド 隣にいる人』より
市川「最初は『恋人に見えるかな』と心配だったんです(笑)。坂口くんには、若くてやわらかい印象を持っていたので。でも本読みのときにお会いしたら、当たり前のことですけど、
お会いしていなかった4年間という時間がしっかりと刻まれている感じがして、恋人役への心配がなくなりました(笑)。ただ、未山がどういう人なのかとか、ふたりの空気感がどんなものなのかといったことは、ずっと探り続けていました。
未山との温度感や距離感があって、詩織という人物が見えてくると思ったので。あとは、詩織は“自然のなかで暮らすたくましい女性です”と言われていたので、とにかく私は撮影地の長野県の自然の中を散歩して鳥の声を聴いたり、湧き水を飲んでみたりしていました(笑)」

『サイド バイ サイド 隣にいる人』より
――市川さんご自身についても少し伺いたいのですが、本編にも詩織の娘・美々が生まれたときの話が出てきますが、市川さんの“実日子”のお名前にはどんな思いが込められているのでしょう。
市川「私は三姉妹で、一番上の姉が生まれて、次の姉が生まれて、私が生まれたときに、
仲の良い三姉妹になりますようにと、二人の姉からひと文字ずつを取って付けてもらいました。三姉妹でパズルのような名前になっています(笑)。私には、“
日々、実る子”という意味も込められています」
――素敵です。
市川「そういえば、少し前に母と歩いていたときに、『ファンなんです』と声をかけていただいたんです。それで『
娘に同じ名前を付けさせていただきました』って。以前、他の方にもそう言っていただいたことがあるんですけど、もう私震えちゃって。だって、名前ですよ。すごく大きなことですよね。思わず、『
名付け親です』と、隣の母を紹介してしまいました(笑)」
――(笑)。ありがとうございます。最後に、読者にメッセージをお願いします。
市川「いくらでも想像のできる映画なので、何も考えずにまっさらな気持ちで観ていただけたらと思います。私は2回観ましたが、1度目と2度目で、全く印象が違いました。その時の自分の心模様を写す鏡のような映画だと思うので、何度か観ていただけたらうれしいです」
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『サイド バイ サイド 隣にいる人』より(以下同じ)
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(C) 2023『サイド バイ サイド』製作委員会
<撮影・文/望月ふみ>
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
@mochi_fumi