NHK『らんまん』神木隆之介が、30歳目前で見せつける力量がスゴい。円熟した演技を解説
すべてが神木マジック
いつまでも見ていたい演技の宝庫
「天狗、また春が来たがじゃ」
ディーン・フジオカ扮する天狗(坂本龍馬)が寝そべっていた大木に向かって、万太郎は呼びかける。神木が操る土佐弁の魅力に耳をすませば、本作がこの先、どれほど豊かな景色を見せてくれるのか、さらにワクワクする。
第3週第11回、山間をぬって、目当ての草花を見つけた万太郎が、「さわって、ええか?」と聞く。柔らかな語尾と感嘆する神木の息づかいが素晴らしい。こういう何気ない場面でもいちいち感動してしまう。万太郎は、「ジョウロウホトトギス」の茎に両手を添えて、慈しむような表情を浮かべる。念入りに点検する姿は、ほんとうに現実世界でこの花を発見した喜びに満ちた演技だ。
神木が自然に呼びかける。すると、視聴者も一緒に新しい花を発見したような喜びを思わず感じる。さすが、神木君だ。本作は、いつまでも見ていたい神木の演技の宝庫だ。
<文/加賀谷健> 1
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