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問題のある精子提供者にダマされることも。同性カップルが子を授かるまでの苦悩

「子どもがほしい」と願うLGBTQの人はたくさんいます。しかし、日本では同性カップルが子どもを授かることは、簡単なことではありません。
左から長村さと子さん、息子さん、茂田まみこさん

左から長村さと子さん、息子さん、茂田まみこさん

 レズビアンカップルの長村さと子さんと茂田まみこさんは、長い年月を経て、知人男性から精子提供を受けて子を授かりました。現在1歳4ヶ月となる息子と一緒に、新しい家族を築いています。  2人は一般社団法人「こどまっぷ」を運営し、子どもを望むセクシュアルマイノリティやLGBTQ+カップルに向けた支援を行っています。  今回、セクシュアルマイノリティおよび同性カップルがどのように子どもを授かるのか、病院ではどのように対応がなされるのか、妊活・出産を経験した長村さんと茂田さんに話を聞きました。 ※本記事でいう「同性カップル」は、戸籍上の性別がパートナーと同じカップルのことを指します。

日常を発信したり、当事者の相談にのる日々

――お2人の活動内容を教えてください。 長村:私たちは一般社団法人「こどまっぷ」を運営し、セクシュアルマイノリティの子育てや妊活のサポートをしています。あとは、新宿二丁目で「足湯cafe&bar どん浴」と「鉄板女酒場 どろぶね」、新宿三丁目で「レインボーブリトー」を経営しています。 YouTubeでは「ママンズチャンネル」というチャンネルで、私たちの子育てや日常について発信しています。 ――こどまっぷでは、具体的にどのような活動をしていますか? 長村:セクシュアルマイノリティの方々が気軽に集まれる交流会、相談会、妊活に関する初心者講座を開いたり、同性カップルや未婚女性が生殖補助医療を受けられるような法整備を目的としたロビー活動を行ったりしています。LINEでは個別相談も受け付けていて、毎日たくさんの相談が来ている状況です。 「パートナーや親が子どもをもつことに反対している」「産婦人科や不妊外来などでカミングアウトしていいのか」「同性カップルに提供精子を使った人工授精を行ってくれる病院が見つからない」「どうやったら子どもを授かれるか」など、さまざまな相談を受けます。 茂田:妊活に関してだけでなく、長期にわたる不妊治療をどこで止めるかなど、子どもを諦めるという選択肢を考えている人に対するケアも行っています。

子どもを授かる同性カップルは「増えていると感じる」

――同性カップルの子育てや妊活に対して行動し続けている理由は何でしょうか? 長村:もともと私が勉強会や交流会など、集まりの場を提供していたので、その延長で社団法人として「こどまっぷ」を始めました。本格的に活動しようと決めたのは、こどまっぷのメンバーである私のレズビアンの友人が、出産時に亡くなってしまったことがきっかけでした。  友人がなくなった後、精子を提供した知人と亡くなった友人のご両親が子どもを取り合うという状況になってしまい、さらに女性のパートナーは法的なつながりがないため、当然親権をもつことができず、存在が無視されてしまったんです。そこで法的に守られない同性カップルは、起こりうる複雑な問題を想定してたくさんの準備をしなければならないことを痛感しました。同じような状況を生まないためにも、今の活動を続けています。 ――活動するなかで、実際に子どもを授かる同性カップルの数はどのように変化していると感じていますか? 茂田:5~10年前と比べると、かなり増えているように感じます。昔は「同性愛者=家族をもてない」というイメージをもつ人が多かったと思います。そもそも子どもをもつ発想にも至らないのです。 長村:今では顔出しで発信する当事者もいるので、同性カップルにも子どもをもつ選択肢があることを知る機会は増えたと思います。
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「法律がない」という問題
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