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「40万円用意して」から始まった“ゴミ清掃芸人”、妻は48歳・未経験で漫画家デビュー

48歳・未経験で漫画家デビューに踏み切れた理由は……?

――マンガ「ゴミ清掃員の日常」が出版されるなど、活動も広がっていきましたね。同書籍では、友紀さんが絵を担当されていますが、もともと絵が得意だったのでしょうか? 友紀さん:まったくの素人です。編集者さんが「滝沢さんのゴミ話を漫画にしましょうよ」ってお声掛けくださったのですが、夫は絵が苦手で。「そういえば手紙の隅によくネコの絵とか描いてたな……描ける?」と私に聞いてきたのがきっかけです。 ――そのやり取りから書籍化されるなんて…!やってみようと思えたのはなぜだったのでしょう? 友紀さん:当時48歳。全く自信はなかったのですが、この先こんな大きなチャンスはもう二度とないと思いやってみることにしました。 それに、当時子どもが幼かったので、風邪を引いたり熱を出したりで仕事を休むことが多くなってきたこともありますね。少人数の職場だったこともあり「申し訳ないな」と肩身が狭い思いをしていました。なので、在宅で自分のペースでできる仕事にシフトしたいな、と思っていたタイミングだったことも大きいです。 ――実際、漫画を描くことになり、まずはどんなことをしたのでしょう? 友紀さん:編集者の方から、iPadで漫画を描くための方法を3時間ほどレクチャーしてもらったのですが、その直後からはもうプロ扱い(笑)。1年後の発売日までに120ページ分、描かなきゃいけなかったのですごく大変でした。 滝沢友紀さん――初めて描くには、かなりハードルが高そうですね。 友紀さん:基本もノウハウも全くわかっておらず時間がかかっちゃうので、編集さんとオンラインでずっとつないで、随時進捗状況がわかるようにしてやっていました。 ――でも、初めて挑戦されたとは全く思えない仕上がりです!そこからはイラストレーターとしてのお仕事の幅が広がっていったんですよね。 友紀さん:はい。雑誌で連載している夫のコラムの挿絵とか、東京新聞さんの「東京すくすく」で漫画の連載をしたり、先日はAppleさんでiPadでイラストを描くイベントに登壇させていただいたりと、ありがたいです。

ママ友に褒めてもらいながら乗り切った「ワンオペ」時代

――結婚当初やゴミ清掃員を始める前「なんで私ばっかりが、支えないといけないんだ」と思ったことはありませんでしたか? 友紀さん:生活費はずっと半々にしていましたし、ゴミ清掃員を始める前も足りなければ単発バイトなどで、なんとかしてくれていたので不満はなかったです。ゴミ清掃員の仕事を始めてからは夫が生活費の2/3を稼いでくれていましたし。 ――そうだったんですね。では、特に不満もなく? 友紀さん:家事に関しては、不満に思うことが多くありました。もともと家事も育児も率先してやるタイプではなく、1人目の保育園を見つけるのも私がやりましたし、保育園に行き始めた最初の1年間は送り迎えも私がやっていました。夫としては「やりたくない」というよりも「そういうのは男がするもんじゃない」みたいな感じで。 ――それに対して「あなたもやってよ」と言ったんですか? 友紀さん:「やって」って言っても、なんとなくごまかしながら逃げるような感じが続いて、諦めちゃいましたね。「自分がやればいいや」と言わなくなっちゃいました。その頃は、心の距離がかなりあったと思います。 ――しんどいことも多かったと思うのですが、どうやって乗り切ったのでしょう? 友紀さん:不満はずっとありましたけど、ママ友に恵まれていて。「こんなことがあった」と私が愚痴ると「友紀さんは頑張ってるよ!」って褒めてくれることも多く、乗り切れましたね。 ――その後、現在に至るまでに秀一さんの家事・育児への取り組みに変化はありましたか? 友紀さん:2人目を妊娠したときに、私がつわりで全く動けなかった時期があって、夫が送り迎えせざるを得なくなったんです。さらにいうと、2人目が生まれた後で、私が産後鬱になったこともあり、家事を少しずつやってくれるようになりました。「やらざるを得ない」となった結果やってくれた感じですね。今はいいパパです。 <取材・文・撮影/松本果歩>
松本果歩
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。X:@KA_HO_MA
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