二度の性暴力を受け、障がいを抱えて生きる女性が“やり遂げたい2つのこと”
立派な背広を着ている社会的地位のある男性が、「性」という言葉におびえている姿は衝撃だった。
この一件で、誰もがジェンダーの最前線にいるということを感じた。男性でも、女性でも、それとは別の性の人でも、若くても、人生のベテランであっても、誰もが社会的性差であるジェンダーについて本当は悩んでいて、それを言葉にできないことに苦しんでいる。
それは外資系のバックグランドを持つ企業で働く人にとっても変わらない現実なのだと知った。
性暴力被害者として働くおかげで、助かる場面も多かった。
ある日のお昼休み、ニュースで児童虐待に関する報道を目にしたわたしは、フラッシュバックが止まらなくなってしまった。
そのことを同僚に正直に話したところ、
「鮎美さんはそういう障がいだから、そういう時もあるんだね」
とシンプルに受け止め、救護室で休ませてくれた。
その後席に戻っても本調子ではなく、仕方なくメソメソしながら仕事をしていても、皆いつも通りに接してくれたので、かなり気が楽だった。
もともと理解をしてくれる土壌のある会社を選んだということもあるけれど、被害や症状について素直に伝えるだけで対応がここまで違うのかと、逆にこちらが感心してしまった。
<構成/三浦ゆえ>
「そういう時もあるんだね」
いつもどおりの接し方に救われた
三浦ゆえ
編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)、『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』(三木崇弘著、講談社)、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)などの編集協力を担当。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。