二度の性暴力を受け、障がいを抱えて生きる女性が“やり遂げたい2つのこと”
同意のない性交は、性暴力であり、犯罪として加害者が罰せられるーー当たり前のようですが、これまでの日本の刑法では「不同意」だけでは性犯罪と認められませんでした。
池田鮎美さんも、そのひとり。
18歳のときに一度目、その後ライターとして仕事をしているときに二度目の性被害を受けた池田さん。二度目の被害ではすぐに警察に通報するも、起訴には至りませんでした。つまり、被害が被害として認められなかったということです。
被害後に多くの困難を抱えつつも池田さんが切に願ったのは、まず「刑法を変えること」。どのような刑法を望むかを要望書につづっては法務省に送り、また2018年からは刑法改正を目指す市民団体のメールマガジンにコラムを寄稿しています。
そして、「社会のなかで生きること」。自分は障がいを抱えている、それは過去に受けた性被害に起因するものである。そうあきらかにしたうえで、池田さんは就職活動をし、面接を受けます。
話に耳を傾けてくれたのは、いわゆる外資系企業だけでした。
(以下、池田鮎美著『性暴力を受けたわたしは、今日もその後を生きています。』より本文を抜粋、一部編集を加えたものです)
被害を受けているときは相手がわかる形で抵抗し、かつ訴えたときには相手から暴行・脅迫があったことを説明・立証し、それが認められてはじめて加害者のしたことが処罰の対象となったのです。
2023年7月13日、刑法の性犯罪規定が変わります。その最大のポイントは、「不同意性交罪」の創設。
明治時代、女性に参政権がなかった時代に作られた法律がようやく変わった背景には、被害の実態に合った改正を求めた当事者らの声があります。
恐怖で身体がフリーズしてしまった、あるいは抵抗すれば殺されると思って耐えていた……それによって、同意していなかったにもかかわらず、被害が被害として認められない。そんな法律はおかしい、変えなければならないと願う人たちの声が、国を動かしました。