――育休中の夫との役割分担は決めていたのでしょうか?
真船:そこをちゃんと決めていなかったのが我々の敗因だと思います。「お互い気づいた方がやろう」という感じで新生児育児を始めてしまいました。それだと、敏感になっているお母さんの方が動いてしまいがち。
「夫はどうしてこんなに悠長(ゆうちょう)なの?」と不満が溜まっていくのは、こういうパターンが多いのかもしれません。振り返ると、私は余裕ゼロだったし、体調のこともあってイライラしていたし、お互いにコミュニケーションができていなかったなと思いますね。
特に母乳派の人は授乳をこなすだけでも大変な負担なので、お互い寝る時間帯を決めて。夜中は搾乳(さくにゅう)した母乳を夫があげる…などきちんとシミュレーションしてシフトを組んでおけばよかったな、と思います。
――育児に関して夫と話し合ったことで変化はありましたか?
真船:その後も色々な局面があったのですが、言いたいことはちゃんと伝えるようになったし、私も周りにうまく頼れるようになって関係が良くなってきたと思います。夫が部署移動で以前よりは早く帰宅できるようになったり、引っ越しをして私の実母の家に近くなって助けを借りられるようになりました。
産後クライシスをどう描くかは、どちらか一方を悪者に描きたくない気持ちがあったので1番難しいところでした。夫の言い分も描いているので、ご夫婦で読んでもらえたら、どちらの気持ちも共感いただけるんじゃないかと思います。
――漫画で「夫」のキャラクターが面白いのですが、真船さんから見てどんな方なのでしょうか?
真船:思っていることを1回飲み込んでから話す人ですね。私自身は思っていることが全部口から出ていく人間だし、空気に流されたり、常にトラブルに見舞われて大騒ぎしてるような人間なんですが、夫はそういうことが一切ないです。夫の母が、「この子があわてているところを一度も見たことがない」と言っていました(笑)。
私が漫画を描くために、土曜は1日中子供を見てくれますし、料理が得意なので最近では私より数段立派な幼児食を作って息子に食べさせています。子どもも「トト、トト」と言って、夫の姿が見えないと泣くこともあります。父としてもどっしりと構えてくれていると思いますが、最近は子供がかわいすぎるようでデレデレを隠しきれていません(笑)
©真船佳奈『令和妊婦、孤高のさけび! 頼りになるのはスマホだけ?!』はちみつコミックエッセイ、オーバーラップ
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<文/都田ミツコ>