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34歳女優の“母親のような安心感”の正体とは?傷ついた友達を励ます姿が沁みる…|ドラマ『いちばんすきな花』

何よりも尊く感じる関係性

 中途半端になぐさめることもない。ゆくえがリビングの椿にさっと視線を遣る。普段はぼおっとりしているかに見えて、わかるときはわかる椿。ゆくえの意図をちゃんと察して、紅葉を誘って飲みに出かける。  ゆくえと夜々がふたりになる。お腹が空いていないか確認し、夜々のために残しておいたピザをレンジで温める。食卓テーブルについた夜々が語りだす。  ゆくえはキッチンでたたずみ、静かに耳を澄ませる。リビングとの距離感が素晴らしい。夜々が悩んできた性差についての会話場面は静かだが、濃密な人間ドラマがこの空間に立ち上がる。  話しているうちに泣き始める夜々のほうへ、ゆくえが振り返る。そして気づけば、ゆくえがリビングにいて、夜々の隣に座っている。  その後、帰宅途中のゆくえと夜々が、バスに揺られるツーショットがまたいい。ゆくえの空気に抱かれるように夜々は安心しきっている。  春木家からバス車内へ。この移動中、彼らの関係性は、男女の友情問題を考えるより難しいなと思った。難しく、独特な空気感だが、何よりも尊く感じるものだなと。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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