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34歳女優の“母親のような安心感”の正体とは?傷ついた友達を励ます姿が沁みる…|ドラマ『いちばんすきな花』

“らしさ”に拘束される夜々

木曜劇場『いちばんすきな花』第4話より © フジテレビ 第4話での春木家の集いがなかなかドラマティックだ。全編でスポットがあてられるのは、夜々。彼女は小さい頃から特定の相手と向き合うのが苦手で、本来の自分に嘘をつきながら振る舞ってきた。  実家から訪ねてきた母親・沙夜子(斉藤由貴)は、夜々を可愛いお人形さんであってほしいと思っている。女の子ならピンク。もっと可愛い服を着なさい。娘の本音も知らず、沙夜子が勝手に思う“らしさ”をぶつける。  これ以上、らしさに拘束されたくはない。嫌気が差した夜々が、夕食途中に退席して向かうのが、椿の家だ。  先に集まっている3人から続々メッセージが来る。食事そっちのけで返信する夜々を沙夜子が叱り、足止めをくらっていた。到着した夜々は、気丈に振る舞うが、ゆくえの顔を見て、どっとこみ上げる。

“励ましの人”多部未華子

 キッチンに立つゆくえの側に夜々が寄ってくる。袖を引っ張る。まるで子どものような仕草。夜々はゆくえを母親に見立てている。わずかな仕草から、これはただ事ではないと思ったゆくえは、彼女の背中をさすってやる。  なんだろう、多部未華子のこの母親感。すごく優しげだけれど、すごく心強い。側にいてくれるだけで心強く感じられる。  青山真治監督作『空に住む』(2020年)でも、多部は岸井ゆきの演じる後輩が破水し、泣き言を吐露する場面で、力強く鼓舞していた。  かといって無責任に相手を肯定するわけではない。このあたりの塩梅というか、情感がほんとうに絶妙に表現されている。“励ましの人”多部未華子の魅力があふれる。
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何よりも尊く感じる関係性
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