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34歳女優の“母親のような安心感”の正体とは?傷ついた友達を励ます姿が沁みる…|ドラマ『いちばんすきな花』

 いいテレビドラマ作品とは、ストーリーが単に面白いだけのエンターテインメントではない。人間という存在について視聴者が深く考えるきっかけになるものだ。
木曜劇場『いちばんすきな花』第4話より © フジテレビ

木曜劇場『いちばんすきな花』第4話より © フジテレビ(以下、同じ)

 毎週木曜日よる10時から放送されている『いちばんすきな花』は、そんなきっかけを与えてくれる作品。4人の主要登場人物がいる中、特に導き手となるのが、多部未華子だ。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、本作でひときわ魅力あふれる“励ましの人”多部未華子を解説する。

男女4人組の関係性

 男女の間に友情は成立するのか?  答えが出ずに堂々めぐりする永遠の問いだ。この問題は難しい。さらにことを複雑にするとこうなる。男子ふたり、女子ふたりの男女4人なら、どうなる?  男女のペアーになれば、ちょうど2組。ダブルデートもできるし、あるいは合コンも可能だろう。まずい、やはり友情からは遠のいてしまう……。が、『いちばんすきな花』の主要登場人物たちはどうやら例外のようだ。  塾講師の潮ゆくえ(多部未華子)、出版社勤務の春木椿(松下洸平)、美容師の深雪夜々(今田美桜)、コンビニアルバイトの佐藤紅葉(神尾楓珠)がゆるやかに形成する男女4人組は、先の問いの難しさからは無縁の関係であるように思われる。

椿の自宅は4人にとって“絶対に安全な領域”

木曜劇場『いちばんすきな花』第4話より © フジテレビ 彼らが集うのは、決まって椿の自宅。世間の当たり前からズレている自分に生きづらさを抱き続けるこの4人にとっては、絶対に安全な領域。ここなら安心できる。  社会のルールや規範にしばられず、自由に自分が思うままに会話ができるコミュニティなのだ。ここでの会話はすこし独特。自分たちにしかわからない暗号のような言葉を投げ合う。まるで世界には、彼ら4人しか存在していないかのような印象を受ける。  第1話でほとんど知らない者同士だった彼らが、気づけば同志として集まるようになった。外の世界で日々経験する心苦しさから解放されるために。本来の自分として生きるために。  基本はリビングでの会話が中心になるが、ドラマは毎回、静かに育まれる。
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“らしさ”に拘束される夜々
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