明石家さんま再現ドラマが“さんま役の岩田剛典”の独壇場だったといえるワケ
お笑い界BIG3のひとり、明石家さんまには語り尽くせないくらいのエピソードがある。それを毎回、旬の俳優がさんま役で演じる再現ドラマがある。
ひとりのお笑い芸人を驚くほどの顔ぶれが演じていることになる。北村匠海、勝地涼、菅田将暉、成田凌、斎藤工、安田顕、杉野遥亮。歴代の明石家さんま俳優たちの豪華さたるや。
19歳のさんまを演じた菅田将暉の熱演(2015年11月22日放送『小岩青春物語~きみといた街角~』)は特に深く記憶されている。
令和世代には想像が難しいかもしれないが、昔のさんまはなかなかのイケメンで、『男女7人夏物語』(TBS、1986年)などに出演する当代一のトレンディ俳優でもあった。
そんな側面を特徴づけるべく、現行イケメン俳優である菅田や成田凌がちょっとトレンディな出で立ちと佇まいで演じる。見た目はまったく似ていないが、でもどこかさんま的な一部分を各俳優たちが体現する不思議な面白さがある。
そして基本、俳優たちは関西弁を話さない。「ヒェッ」というあの独特な笑い方についても程度の差こそあれ、演じる俳優の特性によってうまく裁量されている。
なので完璧な再現ドラマとは言えないが、その分だけさんまに関するエピソードを通じた俳優そのものの表情と内面に委ねられている。つまり、誰が演じるのかに比重があるのだ。
というわけで8番目のさんま俳優として白羽の矢が立ったのが、岩田剛典だった。そう、我らが岩ちゃんが、さんまを演じることの意外さ、新鮮さ、面白さがうまく掛け合わされた大役に他ならなかった。
さんまがMCを務める番組『誰も知らない明石家さんま』(日本テレビ)で特別放送されるこの再現シリーズ、待望の新作「笑いに魂を売った男たち」が、2023年11月26日に放送された。さんま役に岩田剛典、ビートたけし役が香取慎吾。これは期待しかなかった。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、鏡の中の表情に魅せられながら、本作の岩田剛典について解説する。