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ぐうたら夫が似合いすぎな53歳俳優。北の国から、三丁目の夕日と頼りないキャラがバージョンアップか

 祖父、父、息子……。この一家の男たちは、揃いも揃ってどうしようもない。
『コタツがない家』公式サイトより

『コタツがない家』公式サイトより

 毎週水曜日よる10時から放送されている『コタツがない家』(日本テレビ)の面白さたるや、すべては男たちのユニークなキャラにあるように思う。 「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、“一生見ていられる”と感じる吉岡秀隆の趣きある体たらくを紹介する。

饒舌にしてユニークな変人

 これだけ面白いホームドラマは、おそらく生田斗真主演の『俺の話は長い』(日本テレビ、2019年)以来ではないだろうか。  と思えば、それもそのはず。2023年全クールを見渡してみてもなお、筆者が一番感心した『コタツがない家』の脚本を担当したのは、『俺の話は長い』と同じ金子茂樹なのだから。  金子と言えば、山Pこと山下智久の若き姿が忘れがたい『プロポーズ大作戦』(フジテレビ、2007年)や『SUMMER NUDE』(フジテレビ、2013年)などで大ヒットした脚本家だが、どうやら本人の性に合っているのはラブコメではなかったらしい。以降、ホームドラマで水を得た魚のようにヒット作を生むことになる。  この人の脚本の台詞はなかなかに長い。そのため、長台詞を巧みに操る饒舌なキャラクターが必要になる。しかも、饒舌にしてユニークな変人。金子ワールドには不可欠な要素のひとつだ。

ぐうたら夫の姿

『俺の話は長い』では、主人公の生田が、ドラマタイトル通り、大層な屁理屈をこねくり回すのだが、『コタツがない家』ではそれを吉岡秀隆が担うことになる。吉岡扮する一家の長(?)の深堀悠作は、漫画家だ。  漫画家だが、もう10年以上何も描いていない。ではその間、どう生活するのか。妻であり、本作の主人公・万里江 (小池栄子)が働き手となって一家を支えてもらうのである。  完全におんぶに抱っこ。ズルズルここまできてしまった。快適この上ない。毎日昼に起き、近所の子どもとラジコンで遊び、深酒にゲーム三昧。ソファで眠り込む。それでも一寸たりとも悪びれないぐうたら夫の姿は、もはや清々しいくらいである。
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視聴者を右往左往させる吉岡秀隆
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