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ぐうたら夫が似合いすぎな53歳俳優。北の国から、三丁目の夕日と頼りないキャラがバージョンアップか

視聴者を右往左往させる吉岡秀隆

 いつかは描いてくれるだろうと、基本は自由にさせている万里江だが、ときに小言を言ったりもする。すると悠作は、得意のおちょぼ口になって、鼻の間を腹立つくらい伸ばす。そして相手を小馬鹿にした表情で変な理屈を繰り出す。  こんな奴がもし自分の家にいたら絶対にぶっ飛ばしている。それでもなぜか憎めない。いやでもやっぱり憎たらしい。という具合に相反する感情で視聴者の心を快く掻き乱しながら右往左往させる。  悠作はそれだけ強烈にユニークなキャラクターであり、吉岡秀隆が演じるとほんとうに天下一品の趣きがある。吉岡にしか演じられないプライドすら感じる。考えてみると、芸歴は長い。『北の国から』シリーズ(フジテレビ、1981〜2001年)での純役にはじまり、巨匠・黒澤明作品『八月の狂詩曲』(1991年)でも演技を磨いた。  主演作『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)で演じた小説家役も味わい深く、ちょっと頼りないキャラも名演だった。『コタツがない家』の悠作役はどうしようもない。でも、ちょっぴり愛嬌があるおじさんキャラがバージョンアップしたものだと考えると、しっくりくる。

義理の父への我慢

 深堀家では、人一倍しっかり者の万里江以外、実は男たちは揃ってどうしようもない。高校生の息子・順基(作間龍斗)も悠作に負けないくらいの体たらくである。そんな息子に馬鹿にされていてもお構い無しの悠作はさらにすごい。  威厳なんてものは必要ない。だが、そんな悠作でもひとりだけ厄介に思う人物がいる。万里江の父親であり、これまた問題を抱える山神達男(小林薫)である。第2話から事実上、深堀家の居候になる。煙たがるのはもちろん悠作だ。    悠作からしたら、一応、義理の父の面前である。夜までゲームをしたり、酒を飲んだりなど、好き勝手ができない。それが煩わしくてたまらない。逐一自分の行動を監視する達男にもう我慢の限界!
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ドラマとしては“一生見ていられる”
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