Entertainment

「チケットの売れ行きがやばくて」三浦大知に続き国民的グループも告白。“アーティストの価値”急落の根本原因とは

 いきものがかりの水野良樹が4月14日に自身のX(旧Twitter)アカウントを閉鎖しました。  その直前の投稿、<ツアーのチケットの売れ行きがヤバくて>との告白に驚きの声が広がっています。

三浦大知に続き、いきものがかりもチケット売り上げ不振を明かす

 いきものがかりといえば、朝ドラ『ゲゲゲの女房』の主題歌「ありがとう」や、ロンドン五輪のテーマ曲「風が吹いている」、そして卒業式の定番となった「YELL」など、数多くのヒット曲を持つ国民的グループです。2000年代半ばから2010年代のJ-POPシーンを代表するアーティストと言っても過言ではありません。  それぐらいにビッグなグループでも、わずか10年ほどでこのような苦境に陥ってしまった背景には、一体何があるのでしょうか?  同じようなケースで話題になった三浦大知について、筆者は『日刊SPA!』に関連記事を寄稿しました(三浦大知「半分余っています」チケットの“売れ残り”告白が話題に。“ちょっと興味あるから行こうかな”ができない二つの要因)。
「ピアノソロ 三浦大知 BEST SELECTION」ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

「ピアノソロ 三浦大知 BEST SELECTION」ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス

 チケット代の高騰に収入が追いつかない経済的な状況、そのためアーティストと熱心なファンだけの商業圏が固まってしまい、一般の客が関心を寄せにくくなっていることなどを、チケット売り上げの不振の理由だと考察しました。いきものがかりも、概(おおむ)ねこうした負のサイクルにハマってしまったと言えるでしょう。  しかし、今回はもう一歩踏み込んで考えてみたいと思います。それは、アーティストの価値についてです。

CDバブルの時代に音楽の裾野が広がった分、薄まったプロの匂い

   平成初期のバンドブームから90年代終わりのCDバブルにかけて、日本の音楽市場はピークに達しました。消費者にとって最も身近な趣味が音楽であり、間口が広がった時代です。  こうして純粋な分母が大きくなった一方で、音楽からプロの匂いが薄まっていきました。技術や知識が豊富な職人、技術屋はいても、聞き手を突き放すような価値観を提示する“大人の玄人”が絶滅してしまった。これが、音楽の裾野が広がったことの弊害です。  歌謡曲を代表する作曲家の浜口庫之助は、かつて“音楽が売れることでアマチュアの裾野は広がったけれども、一方でトップオブトップは全く充実していない”と、自著で語っていました。  CDバブルの遥(はる)か前に指摘されていたこの問題が放置されたまま、玄人の存在しないかりそめの繁栄を迎えてしまった。ここに、アーティストの存在価値が急落した根本原因があるのではないでしょうか?
次のページ 
「刺さる」スピードが早いとヒットするが…
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ