その後、千木良さんの子どもが通う私立校では、オンライン授業に加えて「スタディサプリ」(株式会社リクルート)の導入も始まりました。中学から高校まで、さまざまな動画授業が見放題という便利なオンライン教育ツールです。
ですが、学校としてその仕組みを導入したことにも千木良さんは難色を示します。
「学校から、授業の補足には『スタディサプリ』を活用してくださいという案内が来ました。
高い授業料を払っているのだから、授業をしっかりやって、不足があれば補習をしてくれるなどのサポートを受けたいのに、年会費数千円で見られる民間の動画授業に頼るって、どうなのかなと。
先生は質の良い授業ができないと負けを認めて、まともな授業をするのを諦めたのかなとガッカリしました」
緊急事態であったとはいえ、この状況に「学校の存在意義は何なのか」と疑問に思いワナワナしてしまったという千木良さん。分かりやすい動画授業が登場すればするほど、学校の授業の質が厳しく問われていくかもしれません。
森田弥生さん(40歳・仮名)は、高校生の息子がオンライン授業を受けているのを見てため息をついていたそうです。
一斉休校となり、はじめは手探りだったものの、そのうちリアルタイムのオンライン授業が開始されました。子どもたちは朝のホームルームから6時間、昼休みを挟んでみっちり画面に向かい続けなければなりません。

森田さんの息子は、はじめは真面目に授業を受けていたものの、手元が見えないのを良いことに、
徐々に授業に参加しながらスマホゲームをするようになってしまったのだとか。
「よほど勉強への意欲が高い子でないと、高校生がオンラインの授業をずっと集中して受けられるとは考えにくいです。少なくとも、うちの子には向いていないと分かりました」