さらに、まじめに授業を受けている子にも、身体的負担が大きかったようです。
「息子のお友達は比較的真面目に授業を受けていたようですが、
タブレットの端末を授業中ずっと見続けていて疲れ目がひどく、目が痛いといっていたみたいで。
うちの息子もゲームなら大好きで何時間でも画面を見ていられますが、動画授業は一点をずっと見つめなくてはいけないので、ものすごく疲れると言っていました」

教室で受ける授業なら、視野が広く、黒板を見るとき、先生の顔を見るとき、そして少し息抜きに窓の外を見るとき、と自分で視点を変えられますが、オンライン授業となるとそうはいきません。
オンラインの授業は万能ツールではなく、モチベーションの維持や身体的負担にも影響が大きいようです。これは、社会人の方もオンライン会議で感じているのでは。
コロナ禍では、学校生活から「勉強」だけを抜き出してオンラインで実施していました。ですが学校生活というのは「勉強」だけで成り立つものではなく、むしろ
勉強以外の人とのふれあいや、友人、仲間との出会いのほうが大事な要素ともいえます。
赤井香奈さん(45歳・仮名)の息子は、コロナ禍に突入した当初、中学2年生でした。社交的な性格で、すぐに誰とでも仲良くなれるため、学校が大好き。中学でも学校生活を思い切り楽しみたいと生徒会への参加などにも意欲的だったそう。しかしそこに突如のコロナ禍。学校で友達と会うのを楽しみにしていた息子さんの、退屈そうな様子を見るのが辛かったといいます。

「わが家は、学校では勉強よりも人間関係の構築を学んでほしいと思っていたので、オンライン授業だけの学校生活が気の毒でなりませんでした。友達と過ごす時間がなにより大事な息子にとって、休み時間や放課後のないオンライン授業は苦痛だったようです」