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「お金があったのが不幸の元かも」ひきこもり息子を支える、裕福な62歳・パート主婦の嘆き

 長らく社会問題となっている、ニートやひきこもり。内閣府が今年3月に公表した「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」の結果によると、ひきこもり状態にある人は、15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%。全国の数字にあてはめた推計数は約146万人とされています。  令和の世の中ではスマホやオンラインを中心とした娯楽がさらに進化し、家を出ずともネット環境さえあれば充実した暮らしができてしまいます。そのことが、ニートやひきこもりから脱出する困難さにも繋がっているようです。
ソファに座る女性

写真はイメージです(以下同じ)

「ニートが社会問題になっているということはだいぶ前から知っていましたが、まさかわが子がひきこもってニートになるとは、夢にも思いませんでした……」  やつれた表情で話し出したのは、パートの美知恵さん(仮名・62歳)。美知恵さんには亮さん(仮名・27歳)という息子さんがいます。亮さんがニートになったきっかけは、いったいなんだったのでしょうか。令和の“お金持ちニート問題”について、当事者を取材しました。

夫が事故で他界し、明るかった息子が変わってしまった

「そもそもの発端は、亮が中学2年生のときに、夫が交通事故で突然の他界をしたことでした。私も当然、大ショックでしたが、もともと父親が大好きだった息子にとっては耐えがたい出来事だったようで……。それまでは明るい性格で成績もよかったのに、すっかり暗くなり、成績もガクッと落ちてしまいました」 棺と花 それでも、美知恵さんは亮さんに父親の分も愛情を注ごうと努力したそうです。 「亡くなった夫は資産家でした。不幸中の幸いと言うべきか、遺産のおかげで金銭面ではまったく困らなかったんです。今思うと、もしかしたらそれがかえって不幸の元だったのかもしれないのですが……。  亮にはやりたいことをなんでもやらせて、中学校に通えなくなると、フリースクール(何らかの事情で学校に通えない学生が通う学校以外の場所)にも通わせました。その後、高校は公立校に入学したのですが、そちらも数ヶ月で通えなくなり、学費が高額の私立の通信制高校に転校させたんです。  通信制高校は亮に合っていたようで、無事卒業し、私立大学に合格して入学。そこまではよかったんです」

暴力を振るい始めた息子を、一人暮らしさせることに

 晴れて大学生活がスタートしたと思いきや、亮さんは大学の勉強についていけなくなり、家で一日中オンラインゲームをするようになってしまいました。 「もちろん、私も最初は息子と話し合ってなんとか解決しようとしました。でも、亮はそのうち、『俺がこんなふうになったのはお前のせいだ』『母親が父親の代わりをするなんて、無理な話だったんだ』などと言って、暴れるようになってしまったんです……。  最初は物に当たっていたのが、そのうち私に暴力を振るうようにまでなりました」  大学を長期休学する方法もあったものの、息子さんは戻る気がないということで結局そのまま大学を中退。しかし暴れる息子さんと一緒にはとても暮らせないということで、美知恵さんは自身が所有する近隣のマンションの一室で、亮さんに一人暮らしをさせることにしました。
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息子に「この虐待親が!」と怒鳴られた
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