――アナウンサーから異動して5年目。出世欲はありますか?
秋元:出世欲はあんまりないですね(笑)。とはいえ、企業における女性管理職の割合もまだまだ低いですから、女性が今よりも働きやすくなるように、自分なりに役割を考えたいと思っています。
――10歳の娘さんがいらっしゃるそうですが、子育てとの両立はいかがでしょう?
秋元:大変です(笑)。私の世代はまだ「お母さんが家にいるのが当たり前」のイメージが強く、母親として「こうあるべき」とする価値観にとらわれていたんです。「毎日、掃除機をかける」とか「毎日、手づくりのご飯を作る」とか、自分の中にある理想の母親像に苦しめられていた時期もありましたが、年齢を重ねるうちに変わりました。
昔は、子どもを見ている時間に「仕事に100%の力を出せていないのではないか」とか、逆に、仕事が忙しいと「子どもとちゃんと向き合えていないのではないか」とか、両方の場面で罪悪感をおぼえる時期もあったんです。でも今はほどよく、「“理想の母親”でなくとも子どもを幸せにできるし、自分もハッピーでいなければ子どもにとってもよくない」という意識が強いです。
今回の「わたしのための、BIDISH。」のメニュー開発でも、自分の体のためにいいもの食べたなと思えて、かつ高級感が味わえるものを作りたいとの思いから、トリュフを使うことを思いつきました。
短い時間レンジで温めるという作業一つで、あたたかくて充実した食事ができ、さらに香りでも楽しめる。そんな要素をぎゅっと一つのメニューに詰め込みました。食材の大きさやちょっとした食感にもこだわっています。忙しいすべての方に食べてもらいたいです。
――異動された当時、娘さんは5歳でした。娘さんの年齢の変化も、影響はありそうです。
秋元:今は10歳ですし「お布団直しておいて」と言えばやってくれますし、助かっています。私が「今日、こんなことがあって。どう思う?」と聞くと意外と冷静に、的確な答えも返してくれて、対等に話せるようになったし感心します。
――最後、ネクストキャリアへと進んだ経験者として、変化を願う読者へのメッセージをお願いします。
秋元:進んだ先で何があるのか、分からない怖さもあるのかなと思うんです。でも、時代の変化に立ち向かうためにも、機会と興味があるなら思い切って飛び込むことをお勧めします! 優しく迎え入れてくれる環境がきっとあるはずです。
当たり前ながら分からないことは、素直に「教えてください」と言えるかどうかで、変わってくると思います。「知ったかぶり」をしてしまうと自分を苦しめますし、周囲も困るので、意地をはらずプライドも捨てて、教えてもらう勇気が変化する近道だと思います。
<取材・文/カネコシュウヘイ 撮影/星亘>