「レディース服ポケットない問題」を解決したい。“ペットボトル600ml入るポケット付きスカート”に開発者が込めた思い
女性の服には、ポケットがない――SNSでたびたび盛り上がるトピックだ。まったくないか、フェイクポケットとして装飾的にあしらわれるか、あっても何も入らないほど小さいか。気にならない女性もいるだろうが、必要としている女性は困る。
思わぬところでポケットが必要になる可能性もある。年始の羽田空港で発生した航空機火災、乗客全員が無事救助されたのはよかったが、機外への避難時は身ひとつで脱出シューターに入ることになる。
安全上の理由でポシェットのようなものもNG、貴重品はポケットに収めて持ち出すしかない。「ポケットさえあれば!」と叫びたくなる場面に、人生のいつ遭遇するかわからない。
「選択肢の問題ですよね。男性にはポケットのある服がたくさんあって、そこから選べる。でも女性にはそれと同じ選択肢がこれまでほとんどなかったんです」
お話ししてくださったのは、アパレルブランド「CINEMATIQ(シネマティック)」代表の元鈴木さん。火災事故を受け、クソデカポケ……もとい、大容量の“マジカルポケット”がついた、同ブランドのスカートやワンピースが話題になった。
マジカルの名に違わず、600mlのボトルが入る。購入者が「ゲーム機のSwitchが入りました」「日傘も入ります」と、写真や動画を嬉々としてSNSにアップしている。それでいながら、シルエットに響いていない。
元鈴木さんも、X(旧Twitter)で「女性の服にはポケットがない」という投稿を見かけた。折しも、オリジナルのアパレルブランドを始動させようとしていたタイミングだった。
「女性に選択肢がないのは、権利を無視されているのと同じです。たくさん入るポケット付きの洋服という選択肢、それを選ぶ権利は、女性にも当然あるのに。じゃあウチでは、いま男性にある選択肢よりももっといいものを提供しよう、と開発したのが、マジカルポケット付きの”ヴァージニースカート”です」
なぜ600mlなのか。
「発売予定が夏で、熱中症予防に水分補給が必須の時期でした。私もよく自販機などでドリンクを買いますが、そのあとどうしていいかわからない。そこで500mlは絶対入れたいな、と。試行錯誤して、600mlが入る設計に落ち着きました。なんなら1Lも入ります。ちょっとはみ出しますけどね」
大容量ポケット付きスカート
選択肢=権利だから
どうしても手ぶらでコンビニに行きたい女の日常です。 pic.twitter.com/injQMApgkO
— 元鈴木さん (@Motosuzukisan) October 12, 2023