――魚田さんは、幼い頃から「女の子らしいもの」が苦手なタイプだったのでしょうか。
魚田コットン(以下、魚田):おままごとより、外で鬼ごっこをしたりかくれんぼしたり体を動かす遊びが好きでした。アニメも『セーラームーン』より『アンパンマン』が好きで(笑)。
可愛く女の子らしくしたいという願望が全然なかったです。親の好みのフリフリの服を買ってこられて、文句を言って怒られたりしていましたね。
スカートを履いて活発に動くと大人から「パンツが見えちゃうよ」と注意されるので窮屈でした。
元気良くしていると周りから「おしとやかにしなさい」と言われたりするのは、私に限らず多くの女性が体験していることだと思います。
――お母さんに髪を結んでもらうときに引っ張られて痛い思いをするというのは私も身に覚えがあるのですが「女の子あるある」なのでしょうか。
魚田:崩れてしまわないようにしっかりと結ばないといけないのでガシガシ引っ張ったりスゴい力強くやることになるのかもしれないですね。
別に私が「長く伸ばしたい」と言ったわけじゃないし、「結びにくい!」と文句を言うくらいなら切ればいいのにと子ども心に思っていました。
――魚田さんは娘さんがいますが、ご自身が結ぶ立場になったときはどうでしたか?
魚田:私は不器用なのであまり髪を結べませんでした。娘は髪が生え揃うのに時間がかかる子だったというのもあります。
幼い頃は本人が「短くしたい」というのでおかっぱ頭でした。いつの間にか娘は自分で髪を結べるようになっていて、たまに私がやってあげると「ママが結ぶとすぐにぐちゃぐちゃになるから嫌だ」と怒られます(笑)。
服装に対しても、娘のスカートの長さが気になっていた時期がありましたが、自分が母に服装を否定されるのが嫌だったので娘の服装を否定するのはやめようと思いました。
――スーパー銭湯で中年男性から性被害に遭ったのは、何年生のときだったのでしょうか。
魚田:小学1年生のときでした。女の子の友達の家族と一緒に遊びに行っていたのですが、ゲームコーナーで遊んでいたらお尻を触られました。
そのおじさんは私と同じ年くらいの男の子を連れていたので警戒心を解いていたんです。
当時は、自分が何をされているのか理解できませんでした。良いことなのか悪いことなのかも分からない。
「なんでお尻触ってるの?」という違和感を持っていいのかも判断できず混乱状態でした。「嫌だ」と思ったことを誰かに言ったら怒られるかもしれないという漠然とした不安がありました。
最近は、小学校低学年の子どもでも「プライベートゾーンは人に見せたり触らせたりしたらダメだよ」と学ぶ機会があるので、同じ目に遭っても「ダメなこと」だと分かるかもしれません。当時はそういう知識を学ぶことが全くありませんでした。
――後日、周りの人に打ち明けたとき、どんな反応があったのでしょうか。
魚田:スーパー銭湯に一緒にいた友達に打ち明けたら、ネタにしてからかわれるようになりました。その子もどう捉えていいか分からなくて、笑いに持っていったのかもしれません。
母は、「お尻くらい大したことないわよ」という感じでした。母がなぜそう言ったのかは分からないのですが、子どもの言うことに対して半信半疑だったんだと思います。