「やる気があれば次の日からプロになれる」

　経営は軌道に乗っているものの、榎田さんが転職した時期はコロナ禍の真っ只中。いくら施術を教えてくれる協力者がいたとはいえ、未経験の世界に飛び込む不安はなかったのでしょうか。 「不安よりも、私が体験して不眠症が治った頭蓋骨はがしの施術を、同じ悩みを抱えている人に届けたいという気持ちのほうが強かったです。それに、私はもともとアパレル業界で働いていて、上司のパラハラで鬱になった後、不動産サイトに転職しました。そういった体験もあったので、未経験でも何とかなるという自信はありました」 　また、良縁に恵まれたのも整体店を始める大きな要因になったといいます。 「経営のアドバイスをしてくれている方がいるのですが、その方とは講演会で知り合いました。そこで感銘を受けたのが『未経験のことでも、やる気があれば次の日からプロになれる』という教えです。 『技術がないからできないですと言い訳をしていたら、いつまでたっても始められません』という言葉にハッとして。この教えがあるからこそ、異業種でも臆せずチャレンジできていると思います」

大好きな母の教えも成功の原動力に

　母親の教えも榎田さんが仕事に邁進する原動力になっているそう。 「私の母は、『今いる環境のトップのマネをしなさい。マネをすれば必ず成功する』とアドバイスをしてくれました。学生時代、陸上に熱中してファッションに疎かった私がアパレル業界に就職し、約20人の同期の中でトップになれたのも母の教えのおかげです。当時、環境のトップだった店長のマネをしたことで、営業成績を伸ばすことができました。 母は私にとって、親であると同時にメンターのような存在ですね。現在、店舗の運営が順調なのもそうした今の私の軸となる考え方を教えてくれた人たちのおかげだと感じています」 ＜取材・文／黒田知道＞