静まり返る披露宴の親族の控室。凍り付く場の空気を読んで、そろり、そろりといなくなる親戚たち。
すると、一人の伯母がせきを切ったように一気にしゃべりはじめました。

「『……ごめん、〇〇ちゃん。
結婚して良かったと思うところ、今はあまり思い出せないわ』と、言われたかとおもったら、今度は別の叔母さんが、
『もうホントうちの人なにもやらなくて、今日の身支度からペットホテルの手配、子どもたちを迎えに行って、ここまで2時間半の運転も全部わたし』
『お互い働いてるのに、家事は全部女がやるものって思っているからね。たいした稼ぎもないくせに! むしろ私の方が稼いでるくらいなのに』と」
違う方向にヒートアップする伯母さんたち。披露宴中も、親族席でお酒を片手に女性陣だけで大盛り上がりし、男性陣は居心地悪そうにせまい喫煙室にぎゅうぎゅうに固まっていたとか。
ため込んでいた不満が一気に爆発したようですが、披露宴後に青島さんはこんなことを言われたそうです。
「不満を口に出すことで、少しスッキリしたんでしょうね。結婚せずにがむしゃらに仕事に励む私のことを、『
ちょっとうらやましかったの』と言われました。また、違う人生を歩んでいる誰かの小言を言うことで、自分を肯定していた、と。伯母さんたちが本音を伝えてくれたので、驚きましたね。初めてです。
それからはすべて伯母たち頼りの旦那を放置して、私と私の母も入れて5人で地元の温泉と食事で女子会をして大盛り上がり。途中で何度か伯母たちにそれぞれの旦那さんから電話がかかってきましたが、『それくらい自分でやりなさいよ!』とピシャリ。色々な人生があって、幸せは一つじゃないんだなあ……と考えさせられました(笑)」
幸せは十人十色、ひとそれぞれの形があるはずです。そしてときに、みんな“ないものねだり”をしてしまうのも世の常。
誰かと比較するのではなく、小さな幸せをひとつひとつ噛みしめられるようになりたいですね。
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結婚式のトンデモ話―
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<文&イラスト/赤山ひかる>
赤山ひかる
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。