その日も先生が授業をしているというのに、生徒たちは雑談をやめようとしません。
「内心ではイライラしていたことでしょう。私語をしている生徒を注意することもなく、淡々と授業を進めていました。きっと先生から『言っても無駄だ』と見放されていたんでしょうね」

チャイムが鳴って先生が立ち去ったときです。生徒のうちの1人が、教壇の上に先生のスマホが放置されたままになっているのを発見しました。
「どうやら、スケジュールを確認するためにスマホを開き、そのまま画面ロックを掛けずに教壇の上に放置して忘れてしまったみたいです」
クラスのお調子者の生徒が、「わー吊り目ごぼうのスマホじゃん!」、「ロック掛かって無いぞ!」と騒ぎ出して、勝手に操作し始めたのです。
「もちろん、やめなよ、と注意しましたが、本心からではありません。何か面白いものが出てきたらいいのに、と内心では思っていました」
生徒たちが集まってきて、知られざる先生の一面を暴こうとチェックし始めました。普段、全然素を見せない先生だったために、好奇心を刺激してしまったようです。