――クリニックをオープンするにあたって苦労したことはありますか?
苦労だらけです。単純にやることが多すぎてタスク管理ができない。周りの開業している医師の先生からも「コンサル入れないの?」って言われて、入れてないって言うと「信じられない!」って驚かれます。
全部自分でやってるから、大変だろうなとは思っていたんですが、想像以上でした。薬剤を発注するにしても業者の数がものすごく多いし、ネットに載ってない業者もあるので、どこがいいかを相見積とって比較したり。
クリニックに導入するWi-Fiとか、プロバイダの設定とか言われても意味がわからないし、契約書作りとか、保険関係とか、今までやったことのない仕事が次々降ってくるのがキツいですね……。
――クリニックの開業資金は正直どれくらい掛かったんでしょうか?
運転資金込みで約7000万円です。内訳は、銀行と日本政策金融公庫から融資で4400万円を借りて、あと約2500万円はこれまで働いて貯めた自分の貯金です。
融資の4400万円は、正直信じられない金額を借りれたねって言われます。ドクターだと1億円くらいでも借りれるんですが、私はドクターではないから信用に欠けるんですよね。
なので、事業計画書をしっかり書いて、何度も面談してプレゼンして、いつまでにいくら稼いでどのくらい返せるのか、どうしてこのくらい患者がくると思うのかまでしっかり提示して、借りることができました。
――ご自分で2500万円貯金されていたというのもすごいですね。
クリニックをやると決めて貯めていたわけではないんですが、“何かしたくなった時のために貯めておこう”というのはずっと昔から思っていました。例えば学校に行きたくなったら通えるように、仕事を辞めたいと思ったらすぐ辞められるように。
クリニックの開業に使うとは思ってなかったですし、こんなにお金がかかるとかは思ってなかったですけどね。お金を理由に自分がやりたいことを諦めたくない。ものを買うことは諦められるけど、何かをやりたいという夢は諦められないじゃないですか。
――強いこだわりがあるんですね。
お金は何が何でも絶対自分で100%出したかったんです。クリニックをやるってなった時に「お金出すよ」っていう大人もたくさんいたし、誰かにお金を出してもらうことだってできたかもしれないけど、そうすると「お金出してもらってるし……」となって、自分がやりたいことができなくなるっていうのが前の経験であったので。