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「母は包丁を振り回し、父も姉も精神を病んだ」“普通じゃない母親”に育てられた31歳女性。成人しても続く“虐待”の異常性

彼女が、大学を休学するまで追い詰められた理由は

「母は思い込みが激しく、立派な仕事だと思ったらあとは耳を貸さないんです。  もともと教師になりたい気持ちはありませんでしたが、その先生と付き合ったことで、帰宅が23時過ぎになったり土日出勤があったりといったひどい労働環境を知り、なおさら教師になりたくなくなりました
職員室で仕事する教師

写真はイメージです(以下同じ)

 娘を教師にしたいこともあって、母親は達也さんとの交際に協力的でした。達也さんを家に連れて来させたり、プレゼントを用意したりしていたためか、達也さんも「いいお母さん」と思っているようで、茜さんへの虐待には気が付かなかったそうです。  達也さんに教師になりたくないと伝えても、母親の「茜はまだまだ反抗期で」という言葉で丸め込まれ、達也さんにまで教師を目指すことを応援されるようになります。  望まない教員採用試験対策の勉強のストレスもあり、大学3年生のころ、茜さんは大学に行けなくなって数カ月間休学することになりました。

包丁を振り回す母親と、お姉さんのリストカット

 その前後に、母親はあちこちでトラブルを起こすようになります。茜さんの母方の祖母や伯母(母の姉)と些細なことで喧嘩をしては、相手の家に怒鳴り込むといった調子です。  パート勤めを始めるにしても、勤務先で喧嘩をしてはすぐに辞めてを繰り返します。家では、パート先で知り合った人と勤務先の愚痴を言い合う長電話をしていることもありました。  すでに一人暮らしをしていた社会人のお姉さんにも母親はたびたび電話をかけ、「寂しいでしょう。帰って来なさい」と数時間も話すことが続いていたそうです。  あるときにはお姉さんのマンションに押しかけ、包丁を振り回しもしましたうつ病 結局、お姉さんはうつ病になり実家へ戻ってきました。母親が原因のことなので、実家にいると当然悪化してしまいます。やがてお姉さんは、リストカットをするようにもなりました。住む場所があっても、気が休まるわけではありません。  実は茜さんの父親も、過去にメンタルを病んでいます。そのこともあって、父親は家族との関わりを最小限にしていたのです。  「このまま家にいたらおかしくなる」と、茜さんは思います。しかし憔悴(しょうすい)したお姉さんを目の当たりにすると、家を出ることがいかに難しいかということも思い知らされるのです。  大学についても、卒業要件は満たせたものの、教員免許に必要な単位は足りませんでした。そのため、進路が決まっていない状態で卒業してしまいました。
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発達障害と診断されたけど、母親に理解されるわけがない
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