卒業後も母親の支配下で、さらに過酷な生活が始まった
母親は茜さんを通信大学に入れ、教員免許に不足している単位を取らせました。
接客業などのアルバイトをしながら、猛勉強して教師を目指すという、茜さんにとって厳しい生活が始まります。
1年目の採用試験は不合格でした。
「教師になりたくない」と一貫して思いながら、計4回も教員採用試験を受けました。

そのころ、茜さんのメンタルが再び不安定になっていきます。欠勤が増え、接客のアルバイトが続けられなくなりました。新たに事務職のアルバイトを始めると、
あまりにも事務仕事ができない自分に気が付きます。
例えば、レシートの金額の写し間違えを連発します。また、何かの事務作業をしているとき誰かに話しかけられて作業を中断すると、直前で行っていたタスクを忘れてしまうのです。
ここで茜さんは、疲労だけでは説明がつかない、自身の特性を自覚します。そこで大人の発達障害の診察をしてもらえる医療機関を探し受診しました。
発達障害と診断されたけど、母親に理解されるわけがない
これまでの生い立ちや現在の自分の状態を医師に伝えると、うつの傾向があることに加え、ADHD(注意欠如・多動性障害)だと診断されます。
子どもの頃からずっと母親に「努力が足りない」と言われ続けていたことが、発達障害のためだったとわかったのです。
医師からは障害者手帳の交付申請ができることも伝えられます。障害者手帳をもらうと医療費の負担額が3割から1割にまで減ることなど、様々な説明も受けました。
しかし、茜さんは母親が娘の発達特性を理解してくれるはずがないと思いました。
ADHDであることや、メンタルに関する通院がバレたら、また母から監視されると思い、手帳の交付申請はためらわれました。茜さんが26歳のときの出来事です。
幼い頃からずっと母親の支配下に置かれ、成長して母親の異常性に気づいてからも逃れることができなかった茜さん。彼女には自分の人生の決定権すらありませんでした。そんな状況で「子どもは持ちたくない」と思うのも無理はありません。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
【前回記事】⇒
「朝起こされるとき、母に性器を触られる」“異常すぎるDV母親”から逃れた、31歳女性の胸中
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茜さんのように成人した女性が親の虐待に悩んでいる場合、どこに相談したら良いか迷うと思います。困っている方は下記の相談先も参考にしてみてください。
●法務省「
みんなの人権110番」
差別や虐待、ハラスメントなど様々な人権問題について相談できる。電話をかけると最寄りの法務局につながり、法務局職員又は人権擁護委員が相談を受ける。
電話番号:
0570-003-110(ゼロゼロみんなのひゃくとおばん/全国共通)
受付時間:平日午前8時30分から午後5時15分まで
●厚生労働省「
女性相談支援センター全国共通短縮ダイヤル」
女性相談支援センターは、困難な問題を抱える女性の相談に応じ、状況に応じた支援を行うために都道府県が設置している機関。電話をかけると
近くの⼥性相談⽀援センターにつながる。
電話番号:
#8778(はなそうなやみ/全国共通)
受付時間:相談機関により異なる(平日日中対応が一般的)
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周りのお子さんについて「あの子は虐待を受けているかもしれない」と思った場合は、各自治体の相談窓口、または以下の全国共通の電話窓口で相談できます。当事者はもちろん、目撃者などの第三者の相談も受け付けています。
●こども家庭庁「
児童相談所虐待対応ダイヤル」
「虐待かも」と思った時にかけると管轄の児童相談所に電話を転送、すぐに通告・相談できる。
電話番号:
189(いちはやく/全国共通・通話料無料)
受付時間:24時間受付
●法務省「
こどもの人権110番」
いじめや虐待を含む、子どもの人権に関する問題について相談ができる専用相談電話。
電話番号:
0120-007-110(全国共通・通話料無料)
受付時間:平日8時30分~17時15分
(
メール相談「こどもの人権SOS-eメール」、
LINEでの相談「法務局LINEじんけん相談」も)
●文部科学省「
24時間子供SOSダイヤル」
いじめなど子どものSOS全般について相談できる。都道府県及び指定都市教育委員会などが運営。
電話番号:
0120-0-78310(なやみいおう/全国共通・通話料無料)
受付時間:24時間受付(年中無休)
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<取材・文/菊乃>
菊乃
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:
@koakumamt