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さっぽろ雪まつり「外国人配信者の暴挙」はなぜ野放しに?札幌在住の元キー局アナが物申す

コミュニケーションの壁が背景に

 今回のニュース、私の親友がこのようなLINEをくれました。 「雪が積もる寒い中、一生懸命スタッフとして動いてくれていたのに、いきなりこんな悪質なことをされて、しかも唇から血も出ていたって聞くけど……。  こんなことが雪祭りで起きてしまって、本当に残念。できるなら会場まで私はスタッフを労いに行きたかった」と。  まったくその通りです。  人の顔にむけて、場合によっては氷も入っているような固い雪玉を投げつけるなんて危険極まりないですし、これは実際にしっかりとその場で何らかの対応をされるべき問題であったのではないかと道民としても感じます。  今回は間に入ってくださった欧米系の旅行者の方にも非常に感謝したいところではありますが、最近北海道でよく聞かれる「外国人旅行者」のトラブル、今回なぜ、まわりのスタッフ対応も含めて「お咎めなし」となったのか。考えてみれば、皆、正直英語がよくわからず、コミュニケーションがしっかり取れていなかったことで、なあなあになってしまった、またもしかしたら多すぎる外国人観光客対応に面食らっていたと言う点が根本にあるのではと感じています。

公金を投入してでも外国語の話せる人材を増やすべき

札幌の雪景色 北海道に帰ってきて思うのですが、もはや外国からの皆さんは、北海道の経済を支える大きな存在です。北海道ならではの酪農や農業、漁業と並ぶような柱の1つとしての観光業。  しっかりとコミュニケーションを取ることができる人材の育成が喫緊の課題だと私は感じています。  例えば、先日道内のある動物園に取材でお邪魔した際、外国人観光客の方が何メートルもあるような自撮り棒を使って動物を撮影している姿が目に入りました。  動物は自撮り棒のようなよくわからないものが視界に入るだけでパニックになり、場合によっては怪我にさえつながる可能性があるといいます。  そういった理由から、自撮り棒の使用は控えるようにとポスターが貼ってあるのですが、外国の人に「自撮り棒はダメ」とだけ言っても、それがなぜダメなのか、ただ「no! no!」だけであれば、それは「排除」につながるのみであり、何の歩みよりも生まれないわけです。  もっと公金を投入してでも、英語や中国語、韓国語などを流暢に話すことができる人材を増やすべきだと私は考えます。  もちろん、今回の雪玉をぶつけてきた配信者は、明らかな嫌がらせ、いたずら目的であり、「なぜ雪玉をぶつけたらだめなのか」なんて説明はするまでもありませんが、少なくとも、周囲の人間がもう少しきちんとコミュニケーションを取ることができれば、もっと事態は違う方向に行っていたのではないかと、私もいち道民として思うのです。  先方が何を言っているかわからないし、こちらもどう説明したらいいかわからないから、なあなあに事をおさめる、なんてことは許されませんよね。  寒い中、札幌のために働いてくださっていたスタッフの方に感謝と敬意、そして間違っていると声を上げてくださった外国人観光客の方にも、ひとりの道民として改めて感謝を申し上げます。 <文/アンヌ遙香>
アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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