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永野芽郁と不倫疑惑の田中圭に「バカっぽくて憎めない」の声多数のナゾ…。過去作でサイテー不倫男を演じたことも

田中圭の二面性

原作の山田詠美作『A2Z』(講談社文庫)

原作の山田詠美作『A2Z』(講談社文庫)

 近年の出演作から例をあげるなら、深田恭子と共演した『A2Z』(Prime Video、2023年)が、ちょうどポジティブとクールのハイブリッド作品だったと思う。同作の主人公・澤野夏美(深田恭子)は、出版社の編集者であり、夫・森下一浩(田中圭)もまた編集者である。  この編集者夫婦は、8年前に結婚。倦怠期というには、関係性が冷えきっているわけではない。でも一浩はあからさまに不倫している。それを隠すどころか、夏美にけろりと告白する。  だから離婚しようならまだわかるが、そうじゃない。不倫相手である美大生との関係は続けたいが、夏美との夫婦生活も維持したい。自分勝手過ぎる。ほんとサイテー。  悪質なのは、自分が不倫している事実を吐露する一浩が、基本クールでありながら、ここぞとばかりに人懐こく朗らかに振る舞うこと。愛すべきサイテー夫などといえばいいのか。ポジティブ(朗らか)とクールが同居する田中圭の二面性的演技が極まる。

ドラマ世界と現実世界の臨界

『わたしの宝物』(フジテレビ)公式ページより

『わたしの宝物』(フジテレビ)公式ページより

 サイテーはサイテーなのだから、一浩のことを許すわけにはいかない。なのにどこかで憎めないのは、田中圭が演じる役柄に対して常にはるたん役をオーバーラップして見てしまうからなのか……。  松本若菜と夫婦役を演じた『わたしの宝物』(フジテレビ系、2024年)でも似たところがあった。こちらは目に見えてサイテーを極めたハラスメント夫。人前ではいい夫を演じ、ふたりになるといきなり陰湿になる。共感しようがないキャラクター性にもかかわらず、これを田中圭が演じるとなぜか憎めない気がする。 『A2Z』第2話で、美大生からプレゼントされたネクタイを夏美に結ばせる場面がある。複雑な不倫関係の固結びみたいで嫌な場面だった。でもどこかではるたんの存在が見え隠れする(?)。これほどパブリックなイメージが強烈に息づいた俳優も珍しい。  強烈過ぎるがゆえに、いつしか俳優と役柄が混同され、ドラマ世界の皮膜を知らず知らず破り、現実世界との臨界があいまいになる感覚がある。  事実認定は留保すべきだが、現実世界での不倫疑惑などというスキャンダルが特大ゴシップになり、なおさらそのあいまいな境界にいる感じがある。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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