やがてバスが次の停留所に停車すると、運転手さんが車内アナウンスで「降車ボタンは、一度押していただければ大丈夫です。ほかのお客様も安心してご利用いただけるよう、ご協力をお願いいたします」と落ち着いた口調で呼びかけました。

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怒鳴るわけでも、特定の乗客を責めるわけでもありませんでしたが、その言葉は静かな車内によく響いたそう。
「それでも親子は、まだふざけながら笑い合っていて……車内には何とも言えない気まずい空気が流れていましたね」
するとその直後、近くに立っていた小学校高学年ぐらいの男の子が、金髪の父親を見ながら、「ぼくだったら、そんなことしたらすぐ怒られるのにな」とポツリと呟きました。
「子どもらしい素直な一言だなと思いました。ですが、もし父親が逆ギレしたらどうしよう? とちょっとドキドキしてしまって」
すると父親はハッとした表情になり、笑顔が一瞬で消えました。そして慌ててスマホをしまうと、男の子へ「もうやめよう」と声をかけたそう。さっきまで笑いながらボタンを押していた男の子も、すぐに手を引っ込めました。
車内にはようやく静けさが戻り、張り詰めていた空気も少しずつ和らいでいったそう。