一因として考えられるのが、若手俳優を輩出してきた学園ドラマや青春ドラマの立ち位置の変化です。
『ごくせん』や『イケパラ』は、学校という舞台に大勢の若者がいることが自然なため、一つの作品に十数人もの若手俳優を起用できました。さらに地上波で毎週放送されるなか、視聴者がまだ無名だった俳優を発見し、回を重ねるごとに人気が高まっていく現象が起きていました。ドラマ自体がスターを育てる場として機能していたともいえます。
しかし令和では、若者がテレビを見なくなったので学園ドラマや青春ドラマは減少し、若者の視聴先がテレビから配信やSNSなどへ分散し、俳優のブレイクのきっかけも多様化。俳優になる以前からSNS等で知られているケースも増えました。かつての学園ドラマのように、一作品から何人ものスターが一斉に飛び出す現象は起こりにくくなっているのです。
『東京リベンジャーズ』のようなシリーズ映画になる可能性
しかし令和の今、その一作品から何人ものスターが現れる現象を新たに作り出せるのが、人気漫画を原作とする大型実写映画なのでしょう。
たとえば2021年に公開された映画『東京リベンジャーズ』が北村匠海・山田裕貴・杉野遥亮・磯村勇斗・眞栄田郷敦・間宮祥太朗・吉沢亮らを集められた背景には、そもそも原作に魅力的な若い男性キャラクターが大量に存在していたからといえます。

『東京リベンジャーズ』DVD
『ブルーロック』まさに、「300人の高校生FWから世界一のストライカーを作る」という設定そのものが、若手男性俳優を大量キャスティングできる装置として機能しているのではないでしょうか。
平成の学園ドラマから、令和の漫画実写化映画へ――。若手俳優が集まり、次のスターが生まれる“登竜門”そのものが、時代とともに形を変えているとも考えられそうです。
『東京リベンジャーズ』の劇場公開は3作品。第1作が公開された2021年当時から、それぞれが主演作を増やすなど俳優としてキャリアを重ね、続編では成長した彼らが再び同じ世界に集まりました。
『ブルーロック』も、同じように若手俳優たちが作品とともに成長していくシリーズになる可能性を感じさせます。
現時点で続編製作は公式発表されていませんが、原作でもこの先の物語で重要な存在となる糸師凛役にFANTASTICS from EXILE TRIBEの八木勇征、蟻生十兵衛役に渡邊圭祐、時光青志役に夏生大湖が起用され、映画終盤にわずかなシーンながら登場。物語がまだまだ先へ続いていくことを期待させる演出となっていました。
数年後、出演者それぞれが主演級へと成長したとき、「『ブルーロック』のキャスト、今見ると豪華すぎる」と振り返られる日が来る可能性は大。二世俳優を含むさまざまなルーツを持った若手たちが集結した『ブルーロック』。作品の今後とともに、ここから誰が次世代のスターへと駆け上がっていくのかにも注目です。
<文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中