9月21日、約5ヶ月間に渡り、逆行を続けてきた山羊座を運行中の冥王星が順行に戻りました。 　太陽系の天体たちは黄道上を順行しています。 　ですので、実際に天体が逆行するわけではありません。 　天体は太陽からの距離がそれぞれ異なるため、黄道上を一周するのにかかる日数も違い、地球から見た時、天体が停止していたり、後ろに進んでいるように見えることがあります。 　これを天体の逆行といいます。 　天体の逆行や逆行から順行に転じるタイミングは西洋占星術では注目することの一つです。 　冥王星は太陽からもっとも離れた準惑星です。冥王星は、年に1回5ヶ月以上逆行するので、逆行していること自体はさほど重視することではありません。 　それよりも、逆行から順行に転じる際に、停止しているように見える「留」と呼ばれる時期（前後数日）に起こる象徴的な出来事や、他の星と形成する角度に地上への影響と、天啓がこめられています。 　今回、冥王星は山羊座8度で留となったのは9/21。蠍座8度を運行中の土星とピッタリ60度を形成しています。 　ちょうどこの頃（9/19）、安倍首相が海外メディアとともに福島第一原発を視察しました。 　冥王星は英名ではプルートでプルトニウムとも関係する天体。そして、土星は社会や組織、そして責任の星です。 　冥王星は極限、土星は制限を司るため、この星のコンビネーションは、 ・徹底的に何かに取り組むことによって限界を突破すること ・尋常ではない集中力や克己心による苦難や試練の克服 　を暗示しています。よって、これが今回の冥王星順行のメッセージです。 　海に流出した汚染水や放射能で汚染された地域の除染をオリンピックまでに解決することは大きな試練ではありますが、星はそれは克服できると告げています。 　なぜなら、山羊座の冥王星と蠍座の土星は、占星術では「ミューチャルレセプション」と呼ばれる配置をとり、星本来のエネルギーが強力に発揮されるからです。 　冥王星は破壊的な星ですが、ただ壊すだけでなく、素晴らしい再生力を持ち、底力があります。土星は現実的でしっかりと形にする星。この星たちが手を組むからこそ、大きな試練を乗り越え、不可能を可能にすることができるのです。 　ちなみに占星術のセオリーでは、出生図でこの配置を持つ人には「レコードホルダー（記録保持者）」となり得る素質があるとされています。この星たちには限界を突破するエネルギーがあるからです。 　これから、このことを裏付けるように、新記録を打ち立てたり、今まで不可能だっことが可能になったり、制限や枠が取り払われるような出来事が起こってくるでしょう。 　そして、国や社会だけでなく、個人レベルでも、今までの人生経験の中で作ってきた限界や制限の意識を取りはずして、人生を再構築するまたとないチャンスです。 　ただし、 「よーし。やるぞ！」 くらいの決意だと、おそらく続かないでしょう。 　汚染水や除染の問題のように解決せざるを得ない。 出来るとか出来ないとかではなく、やるしかない。 　それしか道はない。 　くらいに自分を追い込み、徹底的に集中して何かに取り組んだ時にあなたの中の眠っていた力が目覚めていきます。 　土星と冥王星のミューチャルレセプションは、2年後の2015年9月中旬まで続きますので、その頃までに今あなたが持っている限界の意識は大きく塗り替えられることでしょう。　＜TEXT／エル・アシュール　ILLUSTRATION／Kazakov Alexey ＞