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小泉今日子、50歳。ブレない強さはどこからくるのか

 そして現在。家族で食事をしに行く道中での他愛のないやり取りに、思わず涙しそうになったという彼女。  それが、焼肉よりもじゃがりこを食べたいと言い張る「ハイテンション五歳男児」ハルちゃん(姉ヒロコさんの孫)をきっかけに、ふと家族のつながりを感じるシーンです。 <「じゃがりこ! じゃがりこ!」と叫びながら歩くハルちゃんにおばあちゃんであるヒロコが、「じゃがりこよりジャガビーの方が美味しくない?」とどうでもいいことで答える。コンビニに到着してからも、「ねえハルちゃん、ジャガビーの方が絶対美味しいよ」と三回くらい言うヒロコ。ハルちゃんは聞く耳持たずじゃがりこを抱きかかえる> (四月某日の日記)

質(たち)の悪い淋しがり屋

 こうしてみると、彼女が満たされていると感じる瞬間が、ほとんど変わっていないと気づくのですね。しみじみとしながらも、少し哀しくなるような光景に心揺さぶられる。  そんな「質(たち)の悪い淋しがり屋」(夕暮れの保健室)な一面と向き合う時間を大切にしていることがうかがえるエピソードでした。  そこで思い出したのが、以下の一節。 <仕事や、持ちものや、会わなければならない人が多過ぎるのである。やり甲斐がある仕事や、面白い人や、貴重な持ちものが多過ぎる。なぜなら、つまらないことだけではなくて、重要なことも我々の生活を邪魔するからである。> (『海からの贈物』 アン・モロウ・リンドバーグ著 訳:吉田健一) 海からの贈り物 さてテレビ全盛期のお祭り騒ぎを駆け抜けた小泉今日子は、どのようにしてそんな時間と空間を作り、守ってきたのでしょうか。さらなる興味をかきたてられる一冊でした。 ※アン・モロウ・リンドバーグ=アメリカの飛行家、チャールズ・リンドバーグの妻で文筆家 <TEXT/比嘉静六>
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1982年のデビュー以来、歌手、女優として、映画、舞台、テレビ、CM、そして執筆と活動の幅を広げながら、そのすべてを支持され、時を経てもぶれることのない圧倒的な存在感を放つ、小泉今日子。
本書は、彼女が十代の頃から親しみ、かつては住んでいたこともある原宿の町を再び歩き、変わり続ける街並に彼女の半世の思い出を重ねながら、9年間にわたって書き綴った自伝的エッセイ集です。



海からの贈物

女はいつも自分をこぼしている。そして、子供、男、また社会を養うために与え続けるのが女の役目であるならば、女はどうすれば満たされるのだろうか。い心地よさそうに掌に納まり、美しい螺旋を描く、この小さなつめた貝が答えてくれる――。有名飛行家の妻として、そして自らも女性飛行家の草分けとして活躍した著者が、離島に滞在し、女の幸せについて考える。現代女性必読の書。

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