もしレイプ被害にあったら…伊藤詩織さんに聞く、せめて知っておきたいこと
伊藤:知り合いや信頼している人にそういうことをされても、“急にあの人が犯罪者になるわけはない”と思ってすごく混乱するんですね。それは自然なことです。
あのレディーガガさんでさえも、レイプされたことを7年間誰にも言えなかったと明かしていましたよね。性暴力がどれぐらい人を黙らせてしまうのかということです。
被害にあったら「何も話さなくてもいいから、まずここにきて治療を受けてください」というところさえあれば、「あの時、検査もしなかったし、警察にすぐに行かなかったから」と、後になって自分を責めることもなくなると思います。
草薙:もし今の日本でレイプ被害にあってしまったら、まず何をすべきでしょうか
伊藤:現状では、まずは病院の救急外来に行って、レイプキットで検査を受けることだと思います。
草薙:警察にすぐ駆け込んでも役に立たないっていうことでしょうかね。
伊藤:そういう場合もあります。
15年前の話なんですが、オーストラリア人の女性が、日本で米軍兵士にレイプされたんですね。ところが日本の警察に行ったら、13時間ぐらい拘束されてしまった。
彼女はレイプキットのことも知っていたし、飲み物に薬物が入っていたんじゃないかと疑って、病院で尿検査をしたいと言ったんです。でも、警察は彼女を病院に連れて行かなかった。
やはり捜査員の方々は男性が多いので、どう対応したらいいのかわからず、病院や検査に繋げられないということもあると思います。
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詩織さんも、お酒に何らかの薬物(デート・レイプ・ドラッグ)を入れられたことを疑いましたが、24時間以内に血液検査すべきという知識がなく、確証は得られませんでした。
一方、山口氏は「薬物など入れてない、詩織さんが酒を飲みすぎただけの『アルコール性健忘』だ」と主張。我々には真相はわかりません。
ただし、山口氏が言う「デート・レイプ・ドラッグという違法薬物はインターネットでしか買えない、買った証拠がない」というのは大間違い。デート・レイプ・ドラッグは“使い方”の総称にすぎず、「睡眠導入剤」など普通に手に入るものも含まれます。
最近の事件報道を見ると、睡眠導入剤が使われるケースが増えているように思います。万が一、それを入れられて、意識がないままレイプされてしまった場合、結局は同意しなかったことを被害者が証明しなければならないのです。
他人事ではない、性暴力の問題。今後、民事訴訟の動向をしっかりと見守っていきたいと思います。
<TEXT/ジャーナリスト・草薙厚子、女子SPA!編集部 Photo/我妻慶一>
もし被害にあったら、すぐ病院の救急外来へ

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