ママタレに憧れ妊娠8ケ月で旅行、そして緊急入院!“マタ旅”ブームは危ない
最近、妊娠中の女性の間で話題のマタニティ旅行、通称『マタ旅』。その名前のとおり、妊娠安定期に入った女性が出産前の最後の思い出作りに夫や友人たちと旅行に行くことを意味します。
今回はそんな幸せなはずの旅行が一転、トラブルにつながってしまったというエピソードを紹介します。
優子さん(33歳・会社員)はこう語ります。
「29歳で念願の第一子を妊娠しました。本当にうれしくてとにかく浮かれていました。憧れのプレママ芸能人のブログや本を買って、出産グッズをそろえたりしましたね。マタニティヨガやマタニティスイミングなどの影響もそこから受けて習っていました」
優子さんの行動はそれだけにとどまらなかったようです。
「憧れのママタレントが妊娠中に旦那さんと温泉旅行に出かけたというのを見て、私も行くことにしました。『夫婦水入らずの最後の時間』ということで幸せそうだったんです」
優子さんは続けます。
「妊娠8か月目に週末を利用して夫とマタ旅に行きました。新幹線を利用して2・3時間で着く温泉地です。もちろん妊婦歓迎の宿で専用のプランがある旅館を予約しました。とても素敵な旅館でテンションもあがりました」
ところがそんなマタニティ旅行の旅先で優子さんに悲劇が訪れます。
「旅行先でまさかの嘔吐が続いたんです。ツワリも落ち着いていた時だったのに吐き気がとまらず、旅館で常に吐いて・寝てを繰り返すことになったんです」
「その日のうちに急いで病院に行く事にしました。休日だし知らない土地だし、で焦ったのですが旅館の人に調べてもらい、宿から1時間ほど離れた産婦人科へ行きました」
そこで優子さんは衝撃的な診断を受けます。
「『切迫早産の疑いがあるので緊急入院をしましょう』となりました。その話を聞いた瞬間は目の前が真っ暗になりましたね。
『東京に帰らせてください!』とお願いしたのですが当然帰宅は無理。『検査の結果が出るまで絶対安静』ということで知らない土地で一人入院することになりました」
聞いただけでも辛い気持ちになります。
「夫も2日後にはさすがに東京に戻らなければならず、帰っていきました。
病院のベッドで一人、いろんな想像をしました。夫の立ち合いもできないまま一人で出産し、産後も誰にも会えない日が続くと思うと泣けましたし、そもそも無事出産はできるんだろうかと不安で押しつぶされそうになりました」
幸い優子さんは診察と検査を経て「切迫早産」とはならず、体調が回復したタイミングで東京に帰宅。しばらくして元気な男児を出産したと言います。
「あのまま、あそこで『切迫早産』と診断されて入院していたらと思うとゾッとしますね。悔やんでも悔やみきれなかったと思います。
妊娠中も元気に働いていたので自分の体を過信していたのと、あとはメディアに踊らされすぎていたというところは反省しましたね」
と、優子さんは振り返りました。
―シリーズ 旅行のヒサンな話 vol.10―
<TEXT/瀧戸詠未 イラスト/やましたともこ>
きっかけはママタレ!憧れの「マタ旅」へ
幸せな旅行先で突然の異変

知らない土地でまさかの緊急入院に

