28歳で同い年の女性と結婚、3人の子をもうけて現在55歳になるタカオさんには、ここ3年ほどつきあっている女性がいる。
「
ボクは妻が大好きだし家族を愛しています。だけど50歳を過ぎて子どもも大きくなっていくと、この先は少し自分に正直に生きてもいいんじゃないかと思うようになったんですよね」

恋をしたいと思っていたわけではない。だが、
老いを感じて心の隙間ができたとき、そこに恋が滑り込んでくる可能性は大きいのだ。
「彼女は5歳年下のバツイチ女性です。仕事関係で知り合ったんですが、妻とはまったく違う魅力があった。もちろん比べたりはしません。妻は妻、自分の人生にはかけがえのない存在です。だけど彼女は今の私に刺激を与えてくれる女性。3年つきあっていますが、今でも会うたび10代のときのようにときめいてしまう。まさに“恋”なんですよね」
何を身勝手なことを言っているんだと怒る向きもあるだろう。だが
「愛妻家」であればあるほど、男性にとって妻は自分と同化していく存在になるのかもしれない。だから、まったくの「他人」である「外の女性」に気持ちをもっていかれる。
女性はどんなに夫を愛していても、夫と同化するような愛し方はしないように思う。「妻はボクの分身」と語る男性はいるが、「夫が自分の分身」と話す女性に会ったことはない。
分身がいると安心なのだ。だから
安心を手に入れた男は、外で刺激を求める。まさにタカオさんが言うとおりなのだろう。
とはいえ、どんなに「妻を愛している」と言っても不倫がバレれば、それはやはり「ただの不倫」。信頼して愛している妻から、どんなしっぺ返しが待っているかわからない。
<文/亀山早苗>
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【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『
復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数