当たり前のこと、誰もがスルーしていたことが、喜びに変わった
自分で体を洗えたとき、自分でお皿をさげられたとき、〇〇持ってきてと言ったらちゃんと正解したとき、自分で歯磨きをして寝ようとしたとき、靴下をはいたとき、靴を左右間違えないで履いたとき。
障害のない子なら、すべて当たり前でやれることが、できないぽんちゃんだからこそ、毎日イライラすることよりも「
すごいね! できるの!? 天才だね!」という驚きと喜びが多いのだ。

みーちゃんも、「いっしょにままごとをしたら、焼きそばを食べる真似が上手くできたんだよ!」とか、じいじは「昨日乗ったバスと同じ柄のバスを見つけて教えてくれた!」とか、
当たり前のこと、誰もがスルーしていたことを嬉しそうに報告してくれる。それは、保育園の先生も、学童の先生も、そして小学校の先生も、同じ。本当に、本当にありがたいし、あたたかい。
できないことより、できること。もちろん、ダメなことはしっかり教える。それを子育てのモットーにしてから、ぽんちゃんのことがさらに可愛くなった。ただ、ぽんちゃんのことを見る私の目がメロメロらしく、みーちゃんにたいしての叱りと、差があるらしい。そこに気づいたみーちゃんは、いつもこう言うのだ。
「
ママ! ぽんちゃんがかわいいからって、すぐ許さないの!」
どうやらみーちゃんも、ぽんちゃんが可愛いということは認めているらしい。
すこしずつ、すこしずつ。
ちなみに最近、ぽんちゃんができるようになったのが、みかんを上手に皮をむいて食べること。いつかリンゴの皮も上手にむけるようになるといいね。
<文/吉田可奈 イラスト/ワタナベチヒロ>
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【登場人物の紹介】
息子・ぽんちゃん(8歳):天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをもろともせず小学校では人気者
娘・みいちゃん(10歳):しっかり者でおませな小学5年生。イケメンの判断が非常に厳しい。
ママ:80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。