このままほおっておいたら、同じ大きさの子供を、怪我させてしまうかもしれない。まず、いきなり距離を詰められて、怖くない子はいない。
どうしてわかってくれないんだろうと強く叱ったこともあった。でも、ただ、仲良く遊びたいとだけと思ってしまう、障害を持つ小さなぽんちゃんには、どうしても伝わらないのだ。

でも、絶対にこのままでいいわけはない。保育園の先生や、小学校に上がったばかりの頃の、健常児といっしょに通う学童では、
何度も何度も“ダメ”ということを教え続けてくれた。私も、なんとなくぽんちゃんが走り出しそうなときは、ぎゅっと腕をつかむクセがついた。
手にギュッと力をこめると、ぽんちゃんはダメだというサインだとわかるのか、走るのをやめる。ここにくるまで、5年くらいかかっていたのかもしれない。でも、いまこうやって覚えさせないと、大きくなったぽんちゃんがたくさんの人を困惑させてしまう。だからこそ、いま、頑張らなくちゃいけない。
期待するから思い通りにいかない、ならば発想の転換!
どんな子供にだって、育てやすさ、育てにくさはある。とくに、障害があれば、自分が思うようには絶対にいかない。それに、どう教えていいかなんて、まったくわからない。だからこそ、
ぽんちゃんと向かい合って、ひとつひとつ、解決していくしかないのだ。

となると、もう腹をくくるしかない。ダメなものはダメと教えるのはもちろん、教えたことがすこしずつわかってくると、本当にうれしくて、かわいくて、たまらなく愛おしくなる。ぽんちゃんはほかの子と成長のスピードは違うけど、すこしずつ、すこしずつは間違いなく成長しているのだ。
でも、ママである私、みーちゃん、そしてじいじとばあばのなかで、ある意味、
「ぽんちゃんは基本的にいろんなことができない」ということがいい意味でベースとなっているからこそ、毎日「え! ぽんちゃんそんなことができるの!?」の発見が多い。
これは、
パートナーに対してよく言う“期待しない”ということと一緒のことなのかもしれない。