お気づきだろうか。木島さんは、「典子さんとの関係が修復不可能だったから」離婚を決意したのではなく、
「自分のメンタルを守るために」離婚を決意した。どちらが正しいとか、どちらが誠実だとかいうことはない。しかし、ここは大事なポイントである。
「このままでは頭がおかしくなると思いました。
実際、3人全員を殺そうかなとまで思い詰めたんです。最悪B夫は許してもいいけど、A夫と典子は殺したいな、とか」

この話をしている時の木島さんの目には、当時の狂気が甦ったかのような凄みが宿っていた。しかし「殺しても何も解決しない」と踏みとどまった木島さんは、自分と典子さんの共通の友人である大学時代の友人男性に相談する。
「離婚しようと思うと伝えたら、大爆笑されました。
そういうことになると思ってたよ、当時典子ちゃんは、木島以外に付き合ってた男がいっぱいいただろうから。典子ちゃんはモテたからね、と。若いんだし、すぐ別れたほうがいいよと言われました」
木島さんはその足で区役所に離婚届を取りに行き、その彼を含む友人2人に署名をもらって典子さんに突きつけた。典子さんは同意し、木島さんの求めに応じてすぐに家を出ていった。その後木島さんは弁護士を立て、典子さん、A夫、B夫に慰謝料を請求。1年ほどかけて希望通りの額を勝ち取った。
「僕はまた結婚したいと思っていたので、再婚相手に見せられる証拠を残したかったんです。
前の離婚で自分には一切責任がないという証拠を」