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35歳以上が妊娠前に知っておきたい「産後のリスク」│医師に聞く

 過去4回にわたり、高齢出産について産婦人科医の富坂美織先生にお話を伺いました。今回は、高齢出産をするのであれば知っておくべき「助産院と産婦人科病院の違い」と、出産後のリスクについて教えていただきました(以下、コメントは全て富坂先生)。
富坂美織先生

富坂美織先生

助産院と産婦人科病院の違い

 高齢出産をふまえて知っておきたい、助産院と産婦人科病院の違いとは。 「基本的には、高年初産婦さんや合併症のある人は病院での分娩が望ましいでしょう。前回のお産に問題がなかった経産婦さん、年齢が若くて合併症のない妊婦さんは助産院を考えてもよいかもしれません。
高年初産婦さんはどこで分娩するべき?

写真はイメージです(以下同)

 助産院のよいところは、アットホームな雰囲気の中で、助産師さんが妊娠、出産、産後の育児相談まで付き添い、見守ってくれるところです。一方、病院には医師がいて医療行為ができますが、助産院ではできないという特徴があります。  助産院は、ナチュラルに産むことを目指しているといってよいでしょう。ですから、基本的に陣痛誘発・促進剤、無痛分娩を行うための硬膜外麻酔、会陰切開などは行いません。  ただし現在、ほとんどの助産院は病院と連携しています。会陰裂傷になったり帝王切開が必要になった場合は、連携している病院に任せることになります。血液検査なども連携している病院で行います。  近年は病院といってもさまざまです。助産院の雰囲気に近い病院もあり、畳の上でお産したい、お風呂の中で産みたい、などの希望に応えてくれる病院も中にはあります。医療機関のホームページを見て情報を集めるか、産婦人科医やスタッフに聞いていただければお手伝いできることもあると思います」

高齢妊娠は妊娠がゴールではない

 高齢妊娠を目指す場合は、妊娠がゴールではなく、その先の妊娠中、出産、出産後のこともイメージすることが大事だと富坂先生は言います。 高齢妊娠は妊娠がゴールではない「不妊治療は時につらく長いプロセスになることもあるため、どうしても妊娠がゴールとなって、その先のことまで想像できないことも多いのが現状です。いざ、妊娠してみて、急いで分娩先を決めなくてはいけなくて焦ったとか、妊娠中に合併症が出てしまい、過ごし方が大変だった、また分娩時のリスクがこんなにあるとは知らなかった、という声を聞きます。  また産後は環境が一変し、赤ちゃんの存在で昼夜ゆっくり休むことできなくなりますし、慣れない育児のストレスに、ホルモンの劇的な変化で一層疲労感が出やすくなり、まさにダブルパンチ、トリプルパンチという感じです。こういったことまではなかなかイメージする余裕もなく不妊治療を卒業し、せっかくの嬉しいはずの妊娠で、精神的に参ってしまう方も中にはいらっしゃいます。  難しいとは思いますが、妊娠中のこと、出産のこと、育児のこと、仕事のこと、経済的なことも含めて、子供が成人するまでの夫婦のキャリアプランまで含めて考えることができればベストです
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出産後の体力的な問題も視野に入れて
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