
そうした暴言を浴びせられながらも、なぜ由実さんは交際を続けたのでしょう。それは、暴言の後にとても優しくされたからだと言います。
「正直、暴言は耐えがたいものでしたが、一気に発散した後、反省する様子を見せたんです。頭を冷やしてくると言い、散歩にでかけることが多かったですかね。
帰ってくるととても優しい彼になっていました。そして謝るんです。『あんなこと言ってごめん、本音じゃないんだ。愛していることだけは信じてほしい』といった具合に。
優しい彼を見ると、なぜか許してしまったんです。出会った頃の彼とも重なりました。頭に血が上りやすいけど、やっぱり良い人なんだって」
暴言を吐かれた後に優しくされる…この繰り返し。そのたびに、由実さんは彼を許してしまったのです。
康二さんの家に泊まる日もあったそうです。だけど、疲れてしまってすぐに寝てしまうことも。そして、疲れて寝てしまった翌朝、異変を感じたことがありました。
「私はその日仕事が休みだったんですね。彼は仕事で、起きたら家にいませんでした。そして下半身に違和感を覚えました。確認してみると、ズボンと下着が半分脱げていて…。ナイトブラも、上にずれていたんです」
起きたら半裸状態だったという由実さん。不信感を抱いたまま、康二さんの帰りを待ちました。

「帰ってきたとき『なんだか朝、服が脱げていたみたいなんだけど』と聞いたんです。そうしたら、私が寝ている間に性行為をしていたと笑いながら話すんですよ。『何をしてもビクともしないから面白かったよ』『クズにはその仕事も大変ですぐ寝ちゃうんだな』と。
これには我慢ができませんでした。寝ている間にしていること自体も、それを面白いと言っていることにも。そして、彼は私の販売員という仕事を見下しているのだと改めて思いました。私は誇りを持って働いているのに、どうしてそんな言われようをしないといけないんだ、と」
今まで許してきた由実さんですが、この日に目が覚めたそうです。暴言を吐くのが彼の本性で、外面の良さはただの仮面なのだと思ったそう。
その日に別れを告げ、後日連絡が来ても全て無視したと言います。
「これがモラハラなのかと思いました。当時はそれに気づけず、優しい面のみを信じてしまって」
モラハラは絶対に良くないのは言うまでもありません。しかし、交際するまでそうした一面を見せない人もいるようです。
由実さん自身「まさか自分が…」と言っていましたが、決して人ごとではない話なのかもしれませんね。
―シリーズ「気になる男性・彼・夫の意外な一面」―
<文/西田彩花 イラスト/Morimalu>
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美容ライター。美容薬学検定1級、コスメコンシェルジュ(日本化粧品検定1級)、メイクアップアドバイザー検定資格保有。マスコミ系企業に在職中美容資格をいくつか取得し、美容ライターとして独立。
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