食費を月1万円減らせた女性、きっかけはなぜか「きのこ狩り」
生活費を抑えようとした場合、食費の節約は誰もが思いつくところ。
特売などで1円でも安いスーパーを利用している人は多いかもしれませんが、なかにはお店で買わずにタダで食材を調達する人もいます。ベランダでもできる家庭菜園もそのひとつですが、もし知り合いに農家や山林持ちがいたらラッキーかも…。

自身の研究や教授の手伝いなどに追われて、アルバイトの時間があまり取れない天野聡子さん(仮名・24歳/大学院生)もそんな自力調達派のひとり。ちょうど今の時期は、季節的に旬のきのこを求めて山に入るといいます。
「幼なじみの友達の実家が山林を持っていて、そこで春と秋に山菜狩りやきのこ狩りをしています。今は家庭の事情もあって親から援助を受けられず、月7万円のバイト代と奨学金でギリギリの生活。
本当は友達の家族やその親戚の方たちの身内のイベントらしいのですが、私がビンボー大学院生なのを知っているため、気を利かして声をかけてくれるんです。本当に感謝してもしきれません」
シーズンに2回ほど山に入るそうで、同行する友達のお父さんをはじめ、親戚にも山菜やきのこに詳しい方がいて、アドバイスをもらいながら収穫。
ちなみに秋は山菜ではなくきのこがメインとのこと。山ではなめこやサクラシメジ、ナラタケ、クリタケなど数多くのきのこが自生しているといいます。
「いつも採ってくるのは10種類ぐらいです。朝のうちに山に入って、午前中に戻ってきます。お昼はみんなできのこ鍋を食べて、午後は友達やそのお母さん、親戚のおばさま方と保存用にするため、一緒に台所で作業しています。
ただ、量があまりに多いですし、作業も1日では終わらないので途中からはお任せしちゃうのですが、『あとはおばちゃんたちに任せなさい!』と言ってくれるのでご厚意に甘えています」
きのこは下ゆでしてビン詰めや冷蔵用、塩漬けにするほか、天日干しにするなどいろんな保存方法があります。長いものなら1年ほど保存できるそうで、聡子さんもこれには食費が浮いて大助かりだと喜びます。
「自分でも家でオリーブオイル漬けにしてみたり、いろいろと試行錯誤をしています。
もともと料理はあまり好きじゃなかったんですけど、なるべく飽きが来ないようにクックパッドとかのレシピサイトを見ながら作っていたら料理するのが好きなっちゃって。残念ながらそれを食べてもらう彼氏はいないですけど(苦笑)」
そんな聡子さんのレパートリーのうち、お気に入りは「炊き込みご飯」と「きのこのペペロンチーノ」の2つ。手間が少ないため、忙しいときほどよく作っているそうです。
「本当は煮物も好きなんですけど、時間がかかるから作るヒマがなかなかなくて。大学院もバイトもない日にまとめて何種類か煮物を作ったりはしますけどね。
春はきのこではなく山菜になりますけど、1年を通じて自炊のときは肉も魚もちょっとしか食べません。スーパーで買うのはお米以外にはほぼ野菜だし、そういう意味では健康的な食生活を送っているのかも」
自ら採ってきた山菜やきのこを食べるようになってからの1か月の食費は、以前の3万円から1万5000円~2万円に。月1万円以上も削減できたことになります。
きのこぐらいで1万円も浮くか?と思いますが、間接的な効果として、料理好きになって自炊が増えたことで食費が減ったようなのです。
「以前は学食や閉店前で半額になったスーパーのお弁当やお惣菜で済ますこともありましたけど、それでも自炊のほうが安くすることができますから。
実際、今は毎日ではないですがお弁当を作って研究室に行くことも多いです。すべて節約のために始めたこととはいえ、きのこ狩りや料理もやってみると楽しいなって。山に入った翌日は筋肉痛で大変ですけどね(笑)」
彼女のように楽しみながらできる節約を見つけられるといいですよね。普通、知り合いに山林持ちなんていないけど、自分で野菜を育てたりすれば自炊節約生活のきっかけになるかもしれませんよ。
―シリーズ「お金がない!」―
<文/トシタカマサ イラスト/ワタナベチヒロ>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

きっかけは友達が誘ってくれたきのこ狩り

収穫したきのこは加工して長期保存

節約の秘訣は、きのこ自体より「自炊が増えたこと」?

トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。