意外とよくある?離婚届を夫が勝手に出してしまったら…
“夫もしくは妻が、相手に断りもなく離婚届を出していた”と聞くとあり得ないと思うかもしれません。
けれども実は、記入済みの離婚届を勝手に出してしまうケースは決して少なくないのです。
半年前に再婚したという波多野美子さん(仮名・35歳/ピアノ講師)も、前の夫が勝手に離婚届を役所に提出。事後報告で離婚したことを知ったといいます。
「当時は『そんなの無効よ!』と取り乱してしまいました……。弁護士さんにも相談しましたが、私が以前に勢いで署名捺印してしまっていたので『手続き自体に不備はありません』と言われてしまい、受け入れるしかありませんでした」
前の夫と結婚したのは、28歳のとき。美子さんはもともと気の強いところがあり、しかも素直になれない性格だったそうで自分に非があったとしても謝ることができずにいたそうです。
そのため、かんしゃくを起こして夫とケンカすることもしばしば。自分からは絶対に折れないため、数日間まったく口も利かないこともザラにあったとか。
「結婚から半年ほど経ったころ、私が一方的にキレてしまい、署名捺印済みの離婚届をテーブルの上に叩きつけたんです。ただ、本気で別れるつもりはなく、あくまで脅しのつもりでした。いつもはカレが自分から折れてくれていたのに、一向にそのそぶりを見せず、私もついカーッと来ちゃって。
その後謝ってくれたのですが、どうやらこのときの離婚届をずっと持っていたみたいなんです」
ですが、話を聞いてみると、この一件以外にもケンカのたびに「もう離婚よ」「別れるから」といったフレーズを常套句のように使っていたとのこと。これでは愛想を尽かされても当然です。
「私がカレに文句を言っていたのも、手を洗った後に洗面台に水滴が飛び散っていたり、共働きなので分担制にしていた掃除が雑とか…今思えば、粗探しして因縁を付けているような内容でした。
こんなことを毎日のように言われたらストレスも溜まるし、本当に悪いことをしたと猛省しています。けれども離婚届を出されたときは、裏切られたという感情でいっぱいでした」
夫からは電話で言われ、それから弁護士立ち合いのもとで一度会ったきり。「2人きりで話がしたい」と何度も伝えましたが、激しく拒絶されてしまったそうです。
「カレは日記をつけていたらしく、私が日常的にモラハラを行っていた証拠になる可能性があると言われました。お義父さんお義母さんもカンカンで、私の両親からも『全面的にお前が悪い!』と言われました」
慰謝料は請求されず、彼女も財産分与を放棄。ただし、これも両親から放棄するように言われ、従わざるを得なかったといいます。
「このときの私は一方的に被害者感情を持っていて、お金をもらって当たり前だと思っていました。それを両親に言ったら母親から平手打ちされるし、絶縁というほどではないにせよ、再婚相手を紹介するまで親子関係も少し疎遠になっていました」
両親だけでなく離婚の経緯を知った友人たちからも「それはないわ~」とドン引きされたことや、時間が経って冷静になれたことで自分の非を受け入れられるようになったと美子さん。

脅しのつもりだった記入済みの離婚届

写真はイメージです(以下同じ)
離婚の経緯を知った友人たちからドン引きされた
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