ヒートテックで乾燥肌が悪化するって本当?医師に聞いてみた
寒い冬を乗り越えるのに、ユニクロの「ヒートテック」は強い味方です。ところがネット上には、お年寄りなど肌が乾燥している人が着ると、ヒートテックの吸湿発熱効果によって肌の乾燥が悪化したり、かゆくなったりするという声が複数挙がっています。
そこでヒートテックは本当に肌トラブルの元になるのか、受診患者の99%(約2万人)の症状を軽減~消失に導いた、皮膚・痒みのスペシャリストである、うるおい皮ふ科クリニックの豊田雅彦院長に聞いてみました。
ヒートテックの肌トラブルで来院される人はいますか?
「ヒートテックを着ている場所だけ赤くなったり、かゆくなったりして病院へ来る人はいます。最初は問題がなくても、そのうち皮膚が乾燥してきて、それに伴って痒くなってくるんです。それがヒートテックのせいかどうかは、肌に触れていた部分の形……例えばシャツやタイツの形にくっきり赤くなっていたら、間違いないですよね」(豊田雅彦院長、以下同)
ヒートテックを着たときのかゆみは、吸湿発熱効果による乾燥が原因でしょうか。
「吸湿発熱効果による乾燥の可能性もありますが一概には言えません。ヒートテックにはポリウレタン、レーヨン、アクリルおよびポリエステルが入っています。吸湿発熱の働きを持つのはレーヨンです。私は『化繊かぶれ』と呼んでますが、実は合成繊維でかぶれる人も多いんです。
たとえば、ウールでかゆくなったことがある人は、構造や機能が似ているのでレーヨンでもかゆくなる可能性があります。
ただ、合成繊維と一口に言っても様々な種類がありますよね。そのなかのどれに反応しているのか検査するより、基本的にヒートテックを着るのを止めてかゆみが止まるなら、それで問題がないと考えています」
他にヒートテックを着たときのかゆみの原因はありますか?
「スポーツによる汗も原因です。以前スポーツをしていた方が、ものすごく身体がかゆくなったと言うので聞いてみると、ヒートテックを着ていたそうなんです。ヒートテックは、吸湿して熱を出すので、速乾性がありません。汗を吸いすぎると、ビチャビチャになって、熱に変えるどころじゃなくなってしまう。そうすると、肌の常在菌層がくずれてかゆくなることがあります。お子さんも汗をかきやすいので、かゆくなることがあります」
朝晩が冷え込む春先にヒートテックを着て、日中は汗ダラダラなんてこともありますよね。気をつけたいです……。
「汗はかいた方がいいのですが、かいたらなるべく早く洗い流す、あるいは拭き取ることが大事です。また、敏感肌とデリケート肌は違います。敏感肌は乾燥肌とほぼイコール。デリケート肌は非常にかぶれやすい肌のことを言います。通常、これらは混同されて使われていると思います」
乾燥でかゆいのと、化繊でかぶれるのでは大違いですね。
「ヒートテックの場合、両方の肌質の人が注意しないといけません。乾燥肌の人はなおさら乾燥するし、デリケート肌の人は化繊でかぶれるかもしれません。高齢者はもともと肌が弱く乾燥していて、冬は暖房の効いた室内にいるので、乾燥に弱い敏感肌の方が多いのではないかと思います」
では「綿なら安心」かというと、そうでもないらしいのです。
「敏感肌やデリケート肌の方々の中には『綿神話』があります。しっかり汗も吸ってくれるし、安全だし、暖かい。でも私はみんなが綿100%を着ればいいとは思ってません。ナイロンなどが入っていても、それで肌触りがよくて、かゆくならないかもしれない。それなら綿100%以外のものを着たって問題ありませんよね」
ヒートテックがこれだけ売れているのは、肌トラブルが起きない人が多いからでしょう。そこはやはり個人差があるようです。

かゆみの原因は「合成繊維かぶれ」かも
「敏感肌=乾燥肌」「デリケート肌=かぶれやすい肌」
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