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人気ネコYouTube、飼い主に動物虐待疑惑。“リアリティーショー的仕掛け”が暴走させるものとは?6歳歌姫ののちゃん動画にも共通

 ネコ系YouTuberで圧倒的人気を誇る『もちまる日記』が更新を停止。その経緯をめぐって大炎上しています。
(画像:YouTube『もちまる日記』より)

(画像:YouTube『もちまる日記』より)

 事の発端は、4月17日の動画。もちまるが夜中に戻してしまい、救急搬送されたことを報告するものでした。これがかねてより『もちまる日記』に疑問を抱いていたネットユーザーの怒りを買ったのです。  ここに至るまでに、飼い主である「下僕」がもちまるに炭酸水を与えてびっくりさせる動画があり、その後、もちまるが水を飲まなくなり、ついには持病の腎臓病が悪化したという伏線がありました。夜中に吐き続けたのも、その影響からなのではないか、と疑われているのです。  そのため、“もしかしたら動物虐待に当たるのではないか?”との声が大きくなっている。これが炎上の背景です。  そこで、改めて『もちまる日記』の問題点を整理しておきたいと思います。

テレビで特集され登録者100万人超え。ダイソーなど企業コラボも

(画像:YouTube『もちまる日記』より)

(画像:YouTube『もちまる日記』より)

 筆者も、2019年のチャンネル開設当時からの視聴者です。狭いアパートの一室で、生まれたばかりのもちまると下僕の、ささやかで穏やかな日常が繰り広げられる。そんな癒しの動画を楽しみに観ていました。  ところが、その空気感が変わります。いくつか転換点がありました。
(画像:ダイソーネットストアより)

(画像:ダイソーネットストアより)

 まずは、2021年に『ひるおび』(TBS)で特集されたこと。これによりチャンネル登録者数が激増し、100万人超えを達成しました。当然再生回数も比例して伸び、当初はなかったプロモ案件が散見されるようになる。  そこから、もちまるの書籍やカレンダー、そして「しまむら」や「ダイソー」などとのコラボグッズが制作されるようになります。そしてついには、下僕はアパートを出て一軒家を購入するに至る。  これが『もちまる日記』サクセスストーリーのあらましです。

一軒家に移った途端、消えた生活感

 もちろん、人気を得て収益が増えた結果、様々なビジネスが派生し、下僕が裕福になること自体、何の問題もありません。  ただし、その過程で、『もちまる日記』から生活感が消えたことに違和感を訴える声もあります。  どういうことかというと、アパートの一室から一軒家に移った途端に、部屋が整然と片付いてしまったのです。部屋にはゴミ一つ落ちておらず、ものが乱雑に置かれた様子もない。壁紙や床と家具のトーンは完璧な統一感があり、あたかも撮影専用のスタジオのようになってしまったわけです。
(画像:YouTube『もちまる日記』より)

(画像:YouTube『もちまる日記』より)

 これらの状況証拠から、『もちまる日記』が完全にビジネス案件になってしまったのではないかと結びつける声もありますが、ひとまず、ここではそうした見方をせずにしておきます。  むしろ、問題は、そうしたビジネス的な計画性や意図を持った演出でなかった場合、『もちまる日記』という“誠実な”エンタメをどう捉えたらいいのかにあると思うのです。  つまり、ネット動画の再生回数により報酬を得るアテンションエコノミー(人々の注目度や関心の高さ自体が価値を持つ経済)の罠(わな)にハマってしまった下僕が、誠実な性格は変わらないままチャンネルを充実させようと考えていたとしたら…。  それこそ救いようのない悲劇だと言わざるを得ないのです。
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6歳の歌姫ののちゃん動画と共通する構成
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