「その袋は青地のビニールで、オタク御用達のお店の『animate』というロゴが入っていました。その時点で正直『えっ……』と思ったんですけど、彼が意気揚々と渡してきたその袋を開けて、さらなる衝撃を受けました」
それは、当時流行っていたケロロ軍曹の小さなウエストポーチらしきもの……。正直言って、これはいつ使うべきものなのかが一切不明な謎のサイズ感。それでも満面の笑みで「誕生日おめでとう」と告げる彼に奈津子さんは何も言えなかったそうです。

実際にもらったプレゼント
「私、その頃ちょっとケロロ軍曹にハマってたんですよねぇ……。と言ってもそんなに本格的にハマったわけじゃなくちょっと『
面白いよね~』って彼に話したくらい。
でも、経験値のない彼からすればそれが最大のキーワードだったのかなって(笑)」
付き合って間もないため、まだ奈津子さんの好みを把握できておらず、唯一彼が恥ずかしがることなく買えた彼女も好きであろうものがケロロ軍曹グッズ。一瞬あっけに取られたものの、奈津子さんはそこに彼の精一杯を感じ、改めて彼に惚れ直してしまったとか。
「もともと、彼の飾らないところや素朴な性格に惚れこんだのは私の方だったんで……。ヘタに女を喜ばせることに長けてる人だったら、幻滅してたかもしれません。
なんだかんだで今もそのケロロのウエストポーチは大事に取ってあります。使ったことはありませんが(笑)」
ただ、奈津子さんの好みを把握したであろうその後も彼のプレゼントのセンスはそう変わらず。結婚10年目を迎えた今は、奈津子さんのリクエスト通りのものを買ってくれるように頼んでいるそうです。
―シリーズ「
思い出深いギフト」―
<文/もちづき千代子 イラスト/カツオ>
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フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama