奇跡の81歳、若さの秘訣「美しいカップでお茶を飲めば、いい1日が始まる」
世界中で、外出の禁止や自粛が行われている現在。新型コロナウイルスの感染不安と同時に、部屋にこもっていると気分が滅入ってきますよね。
先日、『100歳までパリジェンヌ!』を刊行した弓・シャローさんが住むパリも、もちろん厳戒体制。フランス在住54年、お家で毎日ご機嫌に暮らしてきた“奇跡の81歳”、弓さんのライフスタイルを教えてもらいました。
元デザイナーだけあるセンスの良さと、若々しく美しいルックスの弓さん。前作、『パリが教えてくれたボン・シックな毎日』から3年たって80歳代に突入しても、元気に毎日の暮らしを楽しんでいる様子が伝わってきます。そのコツは、「時間の使い方も持ち物も、ときめくものだけシンプルに、そして機嫌よく」ということだそうです。
たとえば、食器類はもう使わないものは持たずに必要なものだけに。好きなグリーンと白の色合いの食器と、これまた大好きなアンティークのガラスの器類をメインにして数を絞っているとのこと。
お料理が好きで、自宅でお客さまのおもてなしをすることもあるフランスの家庭ですが、お客さま用と普段用は、はっきりとは分けずにどれもフルで使っているそう。
「惜しがってとっておいても仕方がありません。自分が使うたびに、『これ、好きだわ』とうれしくなるほうがよいと思って」(弓さん、以下同)
弓さんと夫のクロードさんが好きなサンドイッチなど、日々のランチやお茶の時間に登場するティーカップとソーサーがあります。赤絵で金やグリーンが彩色された美しい花の絵柄はうっとりするほど絢爛豪華。
シンプルなものが多い弓さんの食器たちの中では、ちょっと異色の存在?
「典型的な没落貴族(笑)だった実家のお蔵から、唯一持ち帰った古い九谷焼なんですよ。大好きなもので、家族の思い出とともに大切にしています」
「若いころは自分の好みがはっきりしていない方が多いと思います。あれもこれも好き、欲しいと思うことでしょう。結果、使い捨てのようなものに走ってしまったりしますよね。また清水の舞台から飛び降りたつもりで買ったものでも、いつかおろそう、お客さまのときに使おうと、“いつか”を先延ばしにする方もいらっしゃるでしょう。
でも、無理のない範囲で、いいものを少しずつ揃えて、それを日常の生活に取り入れることをおすすめします」
そうすると、何か変わりますか?
「いいものを少しずつでも取り入れていると、人でも物でも本物を見る目が養われると思います。美しいものを見抜く目も磨かれるのではないでしょうか」
続けて、
「なにより、自分が気持ちよく感じるはずですよ。いいものを自分のために使う。それは自分を大事にすることにつながり、豊かな感情に満たされます。自分を大事にできない人に、自分以外の人を大事にすることはできないのではないでしょうか。小さなことから自分を大事にすることが、最終的には自分もまわりの人も幸せにすることにつながると思います」
ファッションやジュエリーのデザイナーやディレクターとして活躍。ずっと探していたキッチンからもリビングからも空の様子が見える現在の家を見つけて、そこでたとえタオル1枚、小さな石けん1つでも、自分の好きなもの、ときめくものだけに囲まれて暮らしている弓さん。
本物を見抜く目、美しい物を感じとる審美眼、自分に必要な物、不要な物を見分ける選別・決断の目。人でも物でも人生にも必要な、さまざまな目の力はこうして養われるのかもしれません。
まずは、毎日使う身近な物を「ちょっといい物」に変えてみることから始め見たいと思いました。
【弓・シャロー(YUMI CHARRAUT)さんプロフィール】
1938年、東京麻布生まれ。曽祖父は東京慈恵会医科大学を設立した男爵の髙木兼寛という家系で育つ。田園調布雙葉学園卒業後、女子美術大学に進学。並行してセツ・モードセミナーでも学ぶ。1966年、渡仏。結婚、出産。「プチバトー」のデザイナー他ファッション関連の仕事に従事。著書に『パリが教えてくれたボン・シックな毎日』、最新刊に『100歳までパリジェンヌ!』がある。
【前回の記事】⇒おしゃれすぎる81歳「日本の女性も、サングラスを活用してみて」
<文/女子SPA!編集部>
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美しいカップでお茶を飲むだけで、いい1日が始まる
人でも物でも本物を見る目が養われる
毎日使う身近な物を「ちょっといい物」に
