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心はいつだってまひろのそばにある……道長の永遠に続く片思い|『光る君へ』44・45回

NHK『光る君へ』第45回会えぬ時期も長くあったが、紆余曲折ありつつも、道長とまひろは近くにいる。まひろがそれで満足をし、一生を終えるような女性なのだとしたら、道長は心惹かれなかっただろう。そんな女性をどこまでも心が追いかけてしまう……それが道長という人なのかもしれない。

粘る、三条天皇

目も見えづらい、耳も聞こえづらい。そんな中でも三条天皇は譲位を拒み続けた。本来なら、「道長(柄本佑)よ、無理をしてそんなに帝を引きずりおろそうとするなんてあなたも変わりましたね」などと視聴者側としても言いたくなるが、今の状況では三条天皇を支持する者はほとんどいない。 しかし、三条天皇は粘る。自分の姫皇子を道長の息子・頼通(渡邊圭祐)に嫁がせると言い出した。すでに頼通には妻がおり、この縁談がうまくまとまるとも思えない。が、帝の望みを拒むことはできない。道長は倫子(黒木華)と共に説得しようと試みるが、頑なだ。どうしても娶(めと)れというなら妻を連れて都を出る、と言う。 「藤原も、左大臣の嫡男であることも捨てて、ふたりきりで生きていく」 かつて、道長もまひろにそう言っていたことがあったな、と思い出してしまう。 道長は彰子(見上愛)に説得するように頭を下げるが、その表情は苦い。さらに「帝も左大臣も女子をなんだと思っているのか」と苦言を呈する。 たとえ、帝の姫皇子が嫁いだとて、頼通との間に子が生まれるとは限らない。彰子は過去の自分を重ね、説得には後ろ向きだ。 道長はそばに控えていたまひろ(吉高由里子)にも尋ねるが、「道長のように倫子や明子を等しく愛するということは難しい」と回答する。まあ、道長にそんなことができたのは、まひろがいたからなんだが。道長の場合は特別な女性以外はみんな一緒、という感覚に違いないので……。 結局、頼通は怨霊によって重病に冒されていると噂を流し、この婚姻を流すことに成功した。怨霊が憑いた者に自分の娘はやれない、というわけだ。

「もちづきの かけたることも」

やがて三条天皇が譲位、後一条天皇の即位、3人の娘たちはそれぞれ太皇太后、皇太后、中宮となり、栄華を極めているように見えた道長。 威子が中宮になった宴で、道長は「このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることも なしと思へば」と歌を詠む。 貴族たちが聞けば、権力を全て手に入れた驕りたかぶった男の歌のように聞こえるだろう。 後日、公任(町田啓太)たちは「道長のあの歌はどういった意味だったのだろう」と話し合う。 栄華を極めた、と捉えかねないだろうが、道長がそんな歌を詠むはずがない、と口々に言う。この「光る君へ」ならではの道長像と言えるだろう。 ではどういう想いで詠んだのか……そんなの、まひろに向けて、に決まっている。歌を詠み、まひろに視線を向ける。そして、途中でインサートされるのは、道長とまひろが初めて肌を重ねた夜に見えた月。 たとえ、娘が妃となり、すべての権力を手に入れたとしても、道長の頭の中にはまひろのことでいっぱいなのだ。
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手に入らない人を思い続ける苦しさ
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